ザンゾット:《Nei giorni delle insonni primavere》
眠れぬ春の日々に
目をくらます風が僕に向かってくるだろう、
僕を熱に浮かされた愛におしやるだろう
人間の町の
壁に忘れられた愛に。
開かれた扉は、暗い
入り口のホール
際限のない中庭を示すだろう。
青みがかった雲は氷のように
遠く、そこでは歩哨が
銅像のように
無の番兵をしている。
(訳者妄言)
ザンゾット初期の詩。無題。
原文は、
Nei giorni dell insonni primavere
mi verra' contro il vento che abbaglia,
mi spingera' ai febbrili amori
dimenticati alle mura
delle umane citta'.
Le porte aperte mostreranno
oscuri vestiboli
interminabili coritili.
Nubi azzurrognole come ghiaccio
saranno lontano, dove le sentinelle
come monumenti
al nulla fanno la guardia.
註釈では、デ・キリコの絵のようだとあるが、たしかに特におしまいの部分、雲の上で、無の見張りをしている歩哨というのはシュールレアリスティックである。
また、前半から都市的な光景がつづくのもザンゾットとしては、比較的めずらしい。しかしここでも、風や雲といった自然物がものを言っているのではあるが。
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