Saba: 未刊のソネット《Messina》
僕はその街を見たことはない、名前を
知るのみ。僕の想念のなかで、
本物を想像をしたときには、
地震で破壊された街だった。
泳いで渡らねばならぬ海峡が見えた
暗い葉むらが,軽く揺れていた。
港には、黒い男たちの叫び声が響き渡る、
永遠に不動の昼時、
街が、オレンジの温室が白くなる。
今は、瓦礫(がれき)を見るのみ、そこから
炎が、細長い燭台の腕がでている。
残忍さを取り戻した犬どもがうろついている、
泣いて、母親を求める赤ん坊に、
狙撃兵が子守り歌を歌う...
(訳者妄言)
ウンベルト・サーバ(トリエステ1883−ゴリツィア1957)の未刊の詩。ソネット形式。(この詩についての情報は、2008年12月27日のCorriere della Sera の記事によるもので、姉妹ブログ『イタリアに好奇心』に掲載されています。重複しますが、イタリア現代詩をのせている当ブログにも掲載することにしました。ご了承ください)。
この詩の主題は、1908年の大地震で壊滅的な打撃を被ったシチリアの街メッシーナとその状況である。このソネットが掲載されたのは、サーバが住んでいたトリエステの新聞《Piccolo》の1909年1月12日。
この時は、ウンベルト・ダ・モンテレエアーレの名前で発表しており、なおかつ、後の詩集に収められなかったため、長らく忘れられていた。
原文は、
Io non la vidi mai, che d'essa noto
n'era il nome e non piu'. Nel mio pensiero,
quanto vedevo immaginando il vero
e' quello che distrusse il terremoto.
Vedea uno stretto da varcarsi a nuoto;
di cupe frondi un dondolio leggero:
col porto di vocianti uomini nero,
sotto un meriggio eternalmente immoto.
biancheggiar la citta', vasta aranciera.
Ora veeggo macerie, onde la fiamma
esce, o un lungo sottil braccio di cera.
Vagano cani ritornati fiere:
mentre al bimbo che piange e chiedee mamma
canta la ninna-nanna un bersagliere...
韻は、abba abba cdc ede. ただし、cと e は非常に近い音になっている。
5行目の vedea は vedere (見る)の半過去(imperfetto) で vedeva の異なった形である。
ただし、vedeva, vedea は通常は三人称であるが、古風な形としては一人称でこの形を取る。ここでも、そう解釈した。また vedeva か vedea の違いは、音節数が変わってくる。 vedeva なら3音節、vedea は2音節である。ここは、endecasillabo (11音節)を守るためもあって、vedea を採用したと思われる。この場合, Vedea uno は母音の連続はつなげて読み、これで3音節と数える。
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