Orelli, Giorgio (オレッリ)

2009年3月29日 (日)

Giorgio Orelli: A mia moglie, in montagna

      妻へ、山にて

広大な窪地の奥で
古い氷河から離れたがる
水のもとであおむけになり、
今は腕に刺青をした旅人は
ふたたび峠へ歩きはじめたが、
われらは雌牛をながめられる。
ほんの数匹は急勾配をてっぺんまで登りしがみつく
空腹も喉の渇きもなく
他の牛は中腹でもたもたし
たしかな草を
いがみ合うことなく、せっせとむしり、
かじりとる。ついに一頭が
木の如き頭を天にもたげ
汽船のように停まる雲にむかって鳴く。
牧童たちが使わぬ飼い葉をもってやってくる、
避けられぬ大騒ぎの天の使い、
すぐに二頭の雌牛が走りだす
悲しげで憔悴した目をして
われわれに近づいてくる。
でも君は余所の人だから、驚かないで、
君が内にはぐくむ子を驚かさないで。


(訳者妄言)
ジョルジョ・オレッリの詩。詩集 L'ora del tempo  (1962) から。オレッリは、1921年、カントン・ティチーノ(スイスのイタリアと接した州)のアイローロ生まれ。スイスで勉強し、フリブール大学を卒業した。大学では、ジャンフランコ・コンティーニのもとで学んだが、コンティーニは彼をスイスのイタリア語で書くもっともすぐれた詩人と定義した。

1945年にベッリンゾーナに移りそこで教職につく。ゲーテの詩を翻訳する。

ヴィットリオ・セレーニらとともにリネア・ロンバルダ(Linea Lombarda, ロンバルディア風)に含められる。Linea Lombarda はルチャーノ・アンチェスキが1952年に編んだアンソロジーで、そこにはヴィットリオ・セレーニ、ロベルト・レボラ、ルチャーノ・エルバ、ネーロ・リージ、ジョルジョ・オレッリ、レンツォ・モデスティが含まれていた。

リネア・ロンバルダの特徴は、単にロンバルディア州の風景を詠むとか、ロンバルディア出身あるいは在住の人というのではなく、具象への傾向、レアリズモ、倫理的、市民的社会参加への感性などが共通して見られるグループである。

オレッリの場合、パスコリやモンターレの影響を受け、自分の身近な事物を具体的に描写する。

この詩は、若妻とともに牧場にあって、牛が牧童の動きで騒ぎ出すが、彼女の心を静めようとする語り手の呼びかけで終わっている。

原文は、

Dal fondo del vasto catino,
supini presso un'acqua impaziente
d'allontanarsi dal vecchio ghiacciaio,
ora che i viandanti dalle braccia tatuate
han ripreso il cammino verso il passo,
possiamo guardare le vacche.
Poche sono salite in cima all'erta e pendono
senza fame né sete,
l'altre indugiano a mezza costa
dov'è certezza d'erba
e senza urtarsi, con industri strappi,
brucano; finché una
leva la testa a ciocco verso il cielo,
muggisce ad una nube ferma come un battello.
E giungono fanciulli con frasche che non usano,
angeli del trambusto inevitabile,
e subito due vacche si mettono a correre
con tutto il triste languore degli occhi
che ci crescono incontro.
Ma tu di fuorivia, non spaventarti,
non spaventare il figlio che maturi.

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