Erba, Luciano (エルバ)

2009年3月30日 (月)

Luciano Erba: La Grande Jeanne

             グランデ・ジャンヌ

グランデ・ジャンヌはイギリス人と
フランス人の区別をしなかった
彼女の言い方では
手入れの行き届いた手をしている限り
港に住み、兄は
僕と働いていた
1943年。
僕にローザンヌで会ったとき
僕は夏服だったが
僕は彼女を救えるのだと言い
彼女の世界はそこにあり、僕の手の中
高い山で野兎を食べた僕の歯の中にあると言った。

結局
グランデ・ジャンヌは
良家の奥様になりたかったんだろう
すでに青い、大きな、ベールが三重の
帽子は持っていたけれど。


(訳者妄言)
ルチャーノ・エルバの詩。詩集 Il male minore  (1960)から。ルチャーノ・エルバは1922年、ミラノ生まれ。第二次大戦中はスイスに、1950年代はフランスに、1960年代はアメリカに滞在したのを除き、ミラノで暮らす。

文学部を卒業後、ヴェローナ大学およびミラノ大学でフランス語・フランス文学の教鞭をとる。専攻は17世紀、象徴主義、20世紀初頭の文学。

彼の詩は、アポリネールからトゥーレにいたるシュールレアリスムの影響を受けている。1954年、ピエロ・キアーラとともにアンソロジー Quarta generazione を出版した。

この詩は、エルバがスイスで過ごした時期の経験がもとになっており、主人公のグランデ・ジャンヌは娼婦である。彼女の描写は服装が基本になり、その上に、台詞がかぶさっている。

原文は、

La Grande Jeanne non faceva distinzioni
tra inglesi e francesi
purché avessero le mani fatte
come diceva lei
abitava il porto, suo fratello
lavorava con me
nel 1943.
Quando mi vide a Losanna
dove passavo in abito estivo
disse che io potevo salvarla
e che il suo mondo era lì, nelle mie mani
e nei miei denti che avevano mangiato lepre
                             〔in alta montagna.
In fondo
avrebbe voluto la Grande Jeanne
diventare una signora per bene
aveva già un cappello
blu, largo, e con tre giri di tulle.

(追記)
訳文4行目(原文3行目)を、「手入れの行き届いた手をしている限り」と改訳した。le mani fatte は次の行にある通り、Grande Jeanne の口癖だったようだが、fare le mani にマニキュアをするという意味があるので、男でも比較的経済的に豊かで、床屋で爪の手入れをしてもらっている男なら、という意味に解釈しなおした。

ジャンヌは、良家の奥様におさまりたいわけだから、相手はフランス人でもイギリス人でも身なりがよい、金回りの良い男性を求めているということなのだろう。

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