Pascoli: La poesia (5)
V
わたしは甘美に燃える
灯りだ!
より孤独で、より遅い時間に、
より悲しい、重苦しく、
より善良な影で、兄弟よ!
わたしが、もの思う
子供の上に、
祈る母、泣く揺りかご
おしゃべりする食卓
沈黙する石棺の上につらされた灯りであれかし。
わたしの純潔な炎は
遠くから、大地を踏みしめて
夜進み、心で泣いている放浪者に
人生の青白い道を照らす。
彼は立ち止る。が、私の光線が、
優しいたましいの中に燃えるのを見て、
暗い旅路を再開した、
歌いながら。
(訳者妄言)
パスコリの詩の最終連。人生を行く旅人を照らす灯りとして「詩」は描かれている。パスコリは、詩の果たす役割に強い自負心を持っていたことがうかがえる。
原文は、
Io sono la lampada ch'arde
soave!
nell'ore più sole e più tarde,
nell'ombra più mesta, più grave,
più buona, o fratello!
Ch'io penda sul capo a fanciulla
che pensa,
su madre che prega, su culla
che piange, su garrula mensa,
su tacito avello;
lontano risplende l'ardore
mio casto all'errante che trita
notturno, piangendo nel cuore,
la pallida via della vita:
s'arresta; ma vede il mio raggio,
che gli arde nell'anima blando:
riprende l'oscuro viaggio
cantando.
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コメント
最終連泣かせます。Pascoliの灯りー心に懸かっていましたが、ずっと、御解説〈...詩の果たす役割に強い自負心...〉ヒントになりました。つよくつよく惹かれました。心理的な倒置がなされているのではないか、詩の〈灯り〉。胸うたれました。
投稿: tosca | 2009年8月10日 (月) 18時57分
toscaさん
深く味わっていただきありがとうございます。
5部に分かれた相当の長さを持った詩であり、しかも詩とは何かという詩で、作者の思いも深くこもっていることがうかがわれます。
ランプは、すべてを見ている神的な存在でありながら、内容的にはむしろ慈愛にみちた母のような暖かさを持っていますね。
投稿: panterino | 2009年8月11日 (火) 06時39分
〈...慈愛にみちた母のような暖かさ〉なるほど、詩行にひと筋の灯りがともり、道を先導してくれます。
投稿: tosca | 2009年8月14日 (金) 14時42分
tosca さん
前のコメントで呼び捨てにしていました。失礼しました。訂正しました。
現在、仕事の関係で、こちらのブログの更新ができませんが、秋には再開したいと考えています。
投稿: panterino | 2009年8月15日 (土) 05時29分