Pascoli: La poesia (3)
III
わたしが、百の農家のあばら屋からの
つつましい油の滴で生きる
優しい聖母マリア像の
前で揺れる灯りでないとしたら、
わたしはあらゆる農園からの
オリーヴの捧げものと、
石だらけの丘と葦の鳴る小川の
挨拶を集める。
わたしの光線は、夜、
悲しげな紫の影のなか、
祈り、絶望するまつ毛のなか
たった一粒の涙を照らす。
そして夜明けの光のなかで死に絶える、
わたしの青ざめた光線は、乙女の合唱と
五月の花々のなかで
震えつつ。
(訳者妄言)
ジョヴァンニ・パスコリの「詩」と題された詩の第3連。第一スタンツァは農民たちが貧しいなか、マリア像にオリーヴ油を捧げている。
第二スタンツァでは、それが小川や丘といった自然に広がる。第三スタンツァは、涙を照らし燃やす灯りの光線と、夜が明けて、太陽の光に圧倒され、灯りの光線が死にいくさまを歌っている。
I, II と同様、詩は擬人化され、灯り(lampada)が語り手となっている。
原文は、
Se gia' non la lampada io sia,
che oscilla
davanti a una dolce Maria
vivendo dell'umile stilla
di cento capanne:
raccolgo l'uguale tributo
d'ulivo
da tutta la villa, e il saluto
del colle sassoso e del rivo
sonante di canne:
e incende, il mio raggio, di sera,
tra l'ombra di mesta viola,
nel ciglio che prega e dispera,
la povera lagrima sola;
e muore, nei lucidi albori,
tremando, il mio pallido raggio,
tra cori di vergini e fiori
di maggio.
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コメント
「...わたしの光線は、夜、/悲しげな紫の影のなか/祈り、絶望するまつ毛のなか、たったひと粒の涙を照らす」
感じいります。
X Agostoが詩にいかなる影響を与えたのか、「詩l」「詩ll」そして「詩lll」はどのような展開をするのか、変身願望と受けとめられるのか、高方への、と、もしかしたら邪道かもしれない、と怖れながら読みました。Pascoli、とても清冽で、ふと涙ぐみます。
投稿: Tosca | 2009年7月28日 (火) 16時07分
Tosca さん
繊細な感性による鑑賞、ありがとうございます。
パスコリは古典中の古典なのに、日本での紹介はあまりにもわずかですね。
投稿: panterino | 2009年7月28日 (火) 21時01分
賛成です。
投稿: Tosca | 2009年7月29日 (水) 07時22分