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2009年7月

2009年7月31日 (金)

Pascoli: La poesia (4)

            IV

あるいは、わたしは、ヴェールのかかった灯り、
  横に
白いシーツよりも白く、
まどろんで、胎内に
 宿した子をはぐくむ女を示す。

あるいは揺りかご
  -嵐のランプをかかげ
存在の海を渡り、
  揺れ、きしる船ーを照らす灯り

あるいは静かに地下の墓を
照らしだす灯りー頬のこけた
顔...老人の。金髪の乙女の
固まった笑顔。
お母さん!...時間のない影のなか
...あなた、その悲しい休息に
すでに蝕まれた心臓のところで
手をあわせる!-

(訳者妄言)
パスコリの詩の続き。子供を宿した母がうたわれ、そこから揺りかごへの連想は自然だが、その揺りかごは、存在の海原を渡る小舟に喩えられる。そして第三連では地下で腐敗する死体へ。人の一生と死(後)が灯りの光線で照らしだされている。

原文は、

o quella, velata, che al fianco
   t'addita
la donna più bianca del bianco
lenzuolo che in grembo, assopita,
   matura il tuo seme;

o quella che irraggia una cuna
    --la barca
che, alzando il fanal di fortuna,
nel mare dell'essere varca,
   si dondola, e geme--;

o quella che illumina tacita
tombe profonde--con visi
scarniti...di vecchi; tenaci
di vergini bionde sorrisi;
madre!...nell'ombra senz'ore,
...te, dal suo triste riposo,
congiunge le mani al suo cuore
già róso!--

おしまいの3行は、人称が交錯するが、死体となった母に tu (te) と親称で呼びかけつつ、すぐに suo triste riposo と三人称に変わり、彼女は胸の上で両手を合わせる、と解釈した。この連では、tu (あなた)が非人称的に使われていると考えることもできる。
  

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2009年7月26日 (日)

Pascoli: La poesia (3)

       III

わたしが、百の農家のあばら屋からの
つつましい油の滴で生きる
優しい聖母マリア像の
前で揺れる灯りでないとしたら、

わたしはあらゆる農園からの
オリーヴの捧げものと、
石だらけの丘と葦の鳴る小川の
挨拶を集める。

わたしの光線は、夜、
悲しげな紫の影のなか、
祈り、絶望するまつ毛のなか
たった一粒の涙を照らす。
そして夜明けの光のなかで死に絶える、
わたしの青ざめた光線は、乙女の合唱と
五月の花々のなかで
震えつつ。

(訳者妄言)
ジョヴァンニ・パスコリの「詩」と題された詩の第3連。第一スタンツァは農民たちが貧しいなか、マリア像にオリーヴ油を捧げている。
第二スタンツァでは、それが小川や丘といった自然に広がる。第三スタンツァは、涙を照らし燃やす灯りの光線と、夜が明けて、太陽の光に圧倒され、灯りの光線が死にいくさまを歌っている。
I, II と同様、詩は擬人化され、灯り(lampada)が語り手となっている。

原文は、

Se gia' non la lampada io sia,
      che oscilla
davanti a una dolce Maria
vivendo dell'umile stilla
    di cento capanne:

    raccolgo l'uguale tributo
    d'ulivo
da tutta la villa, e il saluto
del colle sassoso e del rivo
    sonante di canne:

e incende, il mio raggio, di sera,
tra l'ombra di mesta viola,
nel ciglio che prega e dispera,
la povera lagrima sola;
e muore, nei lucidi albori,
tremando, il mio pallido raggio,
tra cori di vergini e fiori
  di maggio.

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2009年7月 6日 (月)

Pascoli : La poesia (2)

                           II

たぶん、晩ご飯に人を集める
 灯りだ、私は。
白の上に花開く、たっぷりとした
テーブルクロスの上に静かに開く、雪の
 牧場の月。

そして楽しげな響宴に微笑む、
 突然、
小さな指を示す、
ほら、書いたり、インクを吸ったりする
 ペンでいつも真っ黒な指。

しかし、食卓では、私の暁の光線を
眺めて物思いにふける長女の
ことを心配する母親は
影にほうっておこう。
娘は私の黄金の炎に
夢中でお前のまなざしもむなしい。
もう逃れている、ああすでに、あわれな母よ、
 遠くへ!

(訳者妄言)
ジョヴァンニ・パスコリの詩  La poesia の第二連。ここでも詩=ランプが語り手となっている。宴にあつまって来る人、特に、小さな子供(の指)そして母と娘に光があたる。娘は夢見がちで、母はそれを心配するが、娘の思いはすでにその空間を出て、遠いところにある。

灯りは、テーブルクロスの白を照らすが、それが雪の牧場を照らす月と重ね合わせられている。灯り(=詩)は、擬人化されている。

原文は、

la lampada, forse, che a cena
  raduna;
che sboccia sul bianco, e serena
su l'ampia tovaglia sta, luna
  su prato di neve;

e arride al giocondo convito;
  poi cenna,
d'un tratto, ad un piccolo dito,
là, nero tuttor della penna
  che corre e che beve;

ma lascia nell'ombra, alla mensa,
la madre, nel tempo ch'esplora
la figlia più grande che pensa
guardando il mio raggio d'aurora:

rapita nell'aurea mia fiamma
non sente lo sguardo tuo vano;
già fugge, è già, povera mamma,
       lontano!

この連も、韻はABABC DEDEC FGFGHIHIである。

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