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2009年1月25日 (日)

Gozzano: La medicina

                    薬
                       美声のC.R.夫人に

どんな悲しい苦しみが僕を消耗させるのか、知らない。
僕は病み、最悪の日々...
手摺りの小柱の間に海がきらめく
棕櫚が生え、柑橘類の実がなるところだ。

ああ!あなたがここにいたら、この花々の間に、
友よ!この香しさのなかに美しい声が聞こえたら!
あなたが、僕らの甘美な欺き人の
すべての本を携えてきたなら!

あなたは「結びの歌」や「鹿の死」あるいは
「種蒔き」を朗唱してくれるだろう...これらの
美しさは、空気よりも、太陽よりも、

僕をもう一度健康で強くしてくれるだろう!
僕は治るだろう!あなたが、言葉の
偉大な力で僕を癒してくれるだろう!

(訳者妄言)
ゴッツァーノの詩集La via del rifugio の中の一篇。病んでいる詩人(語り手)を癒すものは、美しい声(の持ち主)であり、彼女が読んでくれる詩の言葉の力である。
「結びの歌」(Congedo) は、カルドゥッチの詩集Rime nuove の掉尾を飾る詩。「鹿の死」(Morte del Cervo)はダンヌンツィオの詩集Alcyone の一篇。「種蒔き」(La Sementa)はパスコリの Primi poemetti に収められている。

この詩は、詩についての詩、メタ詩と言えるだろう。詩人を甘美な欺き人と呼んでいるわけであるから、「詩が語り手を健康にするだろう」と言ってはいるが、あり得ないと知りつつ騙されている、という解釈が成り立つ。

原文は、

Non so che triste affanno mi consumi:
sono malato e nei miei di' peggiori...
Tra i balaustri il mar scintilla fuori
la zona deei palmeeti e degli agrumi.

Ah! Se voi foste qui, tra questi fiori,
amica! O bella voce tra i profumi!
Se recaste con voi tutti i volumi
di tutti i nostri dolci ingannatori!

Mi direste il Congedo, oppur la Morte
del Cervo, oppure la Sementa... E queste
bellezze, piu' che l'aria e piu' che il sole,

mi farebbero ancora sano e forte!
E guarirei: Voi mi risanereste
con la grande virtu' delle parole!

ソネット(14行詩)である。韻は、前半の8行が、a b b a b a a b と二種類の韻だけで出来ている特殊な形。後半の6行は、c d e c d  e となっている。

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コメント

           あなたが言葉の
 偉大な力で僕を癒してくれるだろう!

 病めるとき、ひとの言葉によりさらに意気消沈する。
御解説身にしみました。
 voiで呼びかけていますね。当方このvoiはいまだ整理されていず、はちめちゃに頭に投げこまれています。  
 Corazzini(もう胸を離れません)とはちがう位相で病いが歌われていて、こちらも惹かれました。

投稿: accatto_ma | 2009年1月25日 (日) 11時19分

accatto_ma さん

voi の2人称単数は、坂本鉄男氏の『現代イタリア文法』(白水社)によると、現在では、中部イタリア農村地帯や南部イタリアに残っているだけ、とのことです。

オペラでは、ヴェルディの台本では、Voi が単数として使われていますね。

ファシスト政権で、この単数の Voiの使用が奨励されたため、逆に、戦後は、二人称の敬称は、Voi が避けられ、Lei のみにということになってしまったのでしょう。

またおっしゃるように、コラッツィーニのみならず、ゴッツァーノも肺を病んでおり、転地療養のためインドまで足を運んでいます。

しかしその甲斐なく彼は33歳の若さで世をさるのですが...

投稿: panterino | 2009年1月25日 (日) 20時20分

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