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2009年1月 1日 (木)

Corazzini: Bando

         

   布告

さあどうぞ、わが屋敷に
灯りがともった!
各々方!私の考えの
販売が始まりますぞ。
お入りください!どなたがご所望です?
オリジナルな考えが
通常の値段で。
僕が売るのは、時の果てまで
眠る猫のように、
陽を浴びて
うずくまっていたいからだ!
さあさあ! 良い
機会ですぞ。各々方、
お留まりあれ、お留まりあれ、
これほどお安く売るのです。
わずかのお金で
有名になれますぞ。
お考えあれ。よい機会です!
悔いのなきよう。
雀の涙のあがないとて、
僕が気を悪くするとは夢心配なさるな!
僕には栄光など関係ないのだ!
気になさるな、お願いだ、僕の
めそめそ声を
あまり気になさるな!

(訳者妄言)
Sergio Corazzini
 (1886-1907) の詩。死の前年に出版された詩集Libro per la sera della domenica (日曜の夕べの本)の掉尾を飾る作品。以下、Romano Luperini, Pietro Cataldi, Lidia Mrchiani La Scrittura e L’interpretazione vol.5 に付されたこの詩の註釈を参照して記す。

この詩は、コラッツィーニがもっとも黄昏派的な詩からはなれ、より前衛的、表現主義的になった作品である。

詩人に与えられた威厳が奪われ、詩人は社会的役割を喪失し、詩人は詩をあたかも他の商品と同じように売買するしかなくなっている。そうした中で、詩人は挑発的に自分の考えを買ってくれと、人々に訴えかける。詩の調子は、冒瀆的であり、自己に対する皮肉にみちている。

お終いの3行は挑発的な調子から、いつもの被害者意識、犠牲者意識のあふれる調子へと変化している。

タイトルの布告(Bando)は、公衆に役所が何かを知らせることで、この場合には、詩人は自分の考えを売るという広告=公告をしているのである。

原文は、

Avanti! Si accendano i lumi
nelle sale della mia reggia!
Signori! Ha principio la vendita
delle mie idee.
Avanti! Chi le vuole?
Idee originali
a prezzi normali.
Io vendo perche’ voglio
raggomitolarmi al sole
come un gatto a dormire
fino alla consumazione
de’secoli! Avanti! L’occasione
e’ favorevole. Signori,
non ve ne andate, non ve ne andate;
vendo cosi’ poco prezzo!
Diventerete celebri
con pochi denari.
Pensate: l’occasione e’ favorevole!
Non si ripetera’.
Oh! non abbiate timore di offendermi
con un’offerta irrisoria!
Che m’importa della gloria!
E non badate, Dio mio, non badate
troppo alla mia voce
piangevole!

自由詩だが、6,7行目のoriginali, normali, 11,12 行目の consumazione, occasione のように対句をなしている部分もある。また、Avanti, signori, idee などの言葉が繰り返されて、リズムを形成している。

1011行目の a dormire /fino alla consumazione/ de’ secoli  は挑発的な言い方で、ブルジョア社会で詩人の果たすべき役割のない不満を、世間に背をむけていつまでも猫のように眠っているという形で表している。また、註釈によれば ‘consumazione dei secoli’ はラテン語の‘consummatio saeculorum’を訳したもので、聖ヒエロニムス(San Girolamo, 4世紀の教父、ウルガタ聖書を訳した)の言葉。

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コメント

 真の悲劇。

投稿: accatto_ma | 2009年1月 9日 (金) 17時33分

accatto_maさん

おっしゃるように、現代という時代は、詩人が生きにくい、存在自体が問われ続けてしまう時代なのですね。

投稿: panterino | 2009年1月 9日 (金) 23時14分

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