Corazzini: Sonata in bianco minore (3)
白い短調のソナタ
III
ーああシスター、もし戻ってこなかったら、
どうしましょう?
ーもし戻って来なかったら、待ちましょう。
ー修道院は、なんて凍てつくこと。
ー私の心はもっと凍てつくわ。
ーああ、シスター、ところが、私の心は、
太陽を浴びているのです。
ー空に星、海に帆、
たくさんの星、たくさんの帆...
―祭壇に蠟燭の火を灯しましょう。
ー覚えておきましょう、シスター、
私たちは死すべき存在であると。
ー無原罪の御宿り...
ーどうしましょう、もし戻って来なかったら?
ーもしもう戻ってこなかったら、死にましょう。
(訳者妄言)
セルジョ・コラッツィーニの詩の第三連。最終連である。この詩も詩集 Piccolo libro inutile に収められたものである。
おわりから3行目の原文は、Regina sine labe originali...とこの部分だけラテン語である。第二ヴァティカン公会議より前は、ミサや祈りはラテン語であげられていた。聖母マリアに捧げる連祷の一部分である。
原文は、
-Oh, Sorelle, e, se non torna,
che faremo?
-Se non torna, aspetteremo.
-Come e' gelido il convento.
-E' piu' gelido il mio cuore.
-Oh, Sorelle, invece, io sento
tutto il sole nel mio cuore.
-Stelle in cielo e vele in mare,
tante vele e tante stelle...
-Accendiamo le candele sull'altare.
-Ricordiamoci, Sorelle,
che siamo mortali.
-Regina sine labe originali...
-Che faremo, se non torna?
-Se non torna piu' morremo.
太陽の訪れを待つしか他にすべのない修道女。能動的に動くこと、働きかけることは出来ない。それゆえ、動く星や帆に憧れるのであろうか? 星から祭壇の蠟燭への連想は、宇宙的な広がりと、修道院の祭壇の重ねあわせ、物理的な広大さと、精神的な深さの重ねあわせでもある。
生命の行方を、運命にゆだねるしかなかった若い病んだ詩人の心がよく現われた詩といえよう。
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