Montale:《Mottetti VI》
モッテッティ VI
君にまた会うという希望が
僕を見捨てた、
そして僕は自問する、もしこれ、君に関する
あらゆる感覚を僕から閉ざす幻想のスクリーンは
死の徴(しるし)があるのか、あるいは過去から
それ自身において、歪んでいたり、はかないものにせよ、
「君の」閃光だったのかと。
(モデナで、ポルティコの間、
袖章付きのお仕着せの召使いが
二匹のジャッカルを鎖で引いていた)。
(訳者妄言)
モンターレの連作のIV。モンターレ自身が後年(1950年)明らかにしたところによれば、第三連の背景にあるのは、彼の実体験。モデナで、散歩している犬を見たのだが、シェパードとも、ダックスフントともポメラニアンともなんとも判然としない。何という犬かと、犬を引く召使いに訪ねたところ、「犬ではなくて、ジャッカルでさあ」との返事。クリツィアは風変わりな動物が好きだったので、それ以来、詩人はモデナと聞くと、クリツィアおよび二匹のジャッカルの連想が切り離せなくなってしまった。
原文は、
La speranza di pure rivederti
m'abbandonava;
e mi chiesi se questo che mi chiude
ogni senso di te, schermo d'immagini
ha i segni della morte o dal passato
e' in esso, ma distorto e fatto labile,
un tuo barbaglio:
(a Modena, tra i portici,
un servo gallonato trascinava
due sciacalli al guinzaglio).
3行目の questo は転置法(iperbato)により、schermo d'immagini を先取りしている。イメージ、像のスクリーンということであるが、モンターレは、現実の認識がつねに錯誤にみちたものであると考えているので、思い切って「幻想のスクリーン」(幻想というスクリーン、現実がゆがめられて映し出されるスクリーン)と訳してみた。その認識のスクリーンからは、君を感じる感覚は閉ざされているわけである。
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