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2008年8月30日 (土)

ザンゾット:《)(   ()》

    )(      ()

そして今私は入り込む
君の黄金に飛び込む
月私のただ一つの傑作
  
君だけの森
花盛りの月
黄金の黒い群(むれ)
森傑作

準備の出来た瞳       (ショーウィンドウの中で)
骨折りの準備
だが見張りが意気を挫く
地平線の
地平線へ落ちる        (顕微鏡のスライドガラスの中で)

全てを飾る花
沈む些事
些事ただ一つの傑作。

    
(訳者妄言)
タイトルからお判りのように昨日の詩とペアになる作品で、タイトルは外向きのカッコと内向きのカッコが、昨日の詩とは逆に並んでいる。

oro (黄金)は月の光の形容であるが、この詩は音韻からも oro に満ちている。原文は

E mi addntro ora
mi tuffo nel tuo oro
luna mio unico capolavoro

Bosco di te sola
luna fiorito
nera orda d'oro
bosco capolavoro

Pupilla pronta           (in vetrina)
e sforzo pronto
ma le guardia smonta
e di orizzonte
cade in orizzonte      (in vetrino)

Fiore di cui tutto infioro
inezie che tramonta
inezie unico kapolavoro.

2,3, 6,7, 13,15 行目の行末が oro となっている。1行目の ora も近似の音である。また6行目のorda ,  9行目のsforzo, pronto , 11行、12行のorizzonte 13行のfiore には、oro かそれに近い音(or a, ore )が、ばらばらにされて埋め込まれている。

原文では8行目末と12行目末のカッコの中はa と o が入れ替わるだけで、極めてよく似たものになっているのだが、訳文では残念ながらほど遠いものとなっている。ザンゾット自身の説明では、月は美であるが、美がショーウィンドウの中の商品のように消費の対象となることもあり(8行)、科学の探究の対象となることもある(12行)。

現在でも、森にかかる月の風情はあやしく人の心を動かすだろうが、人の生きる世界は大きく昔とは変わってしまったのである。

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