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2008年8月16日 (土)

ザンゾット:《Colle di Giano》

   ヤヌスの丘

       
怠惰な軸がすでに、虚空へと傾く。
子供たちのおだやかな吐息、
数歩のところだが、最果ての境界の太陽、
壁で再び凍結した花とアスター。
ほとんど、土の眠りのなかで
ーたっぷりとした朝の落ち葉の中でー
裸になったように湿っている、
黴(かび)や苔(こけ)や小さな
鳥のざわめきとともに。
そこでは仕事が闇に包まれる。
墓と鐘が姿を現し、
墓碑やつるつるした
ファサードは、平安と狼狽を氾濫させる。
たぶん、子供たちのあえぎと大声のみが
山々を越えるラッパの音のみが、
たぶん愛だけが。

ああ、どうやって、どうやって君たちに語ろう?
だが、心に頑張らせ、眼に火をともさせ、
命に火をつけさせよう。

      
(訳者妄言)
ザンゾットの詩集Vocativo(呼格)(1957)から。

原文は、

Pigro l'asse gia' s'inclina al vuoto.
Il fiato mite dei bambini,
il sole a pochi passi ma agli ultimi confini,
i fiori e gli astri raggelati ai muri.
E umido quasi messo a nudo
d'entro un sonno d'argilla
-d'entro larghe mattine di fogliame-
gia' con brusio di muffe e muschi e minimi
uccelli
laggiu' s'intenebra il lavoro.
Spuntano tombe e campane, dilaga
da lapidi e fronti troppo lisce
pace e sgomento. Forse
solo l'affanno e il gridio dei bambini
e la trombetta che scavalca i monti,
forse solo l'amore.

Oh come, come vi parlero?
Ma forzo il cuore, forzo gli occhi a accendersi,
ad accendere vita.

ザンゾットの詩は不思議である。不思議さの1つは、通常、前衛的な芸術、前衛的な詩が都会的なもの、都市的なものを素材としていることが多いのだが、彼の場合は、田園に根ざしているので、牧歌的な風景の中での前衛的表現になるのだ。

一行目からして、太陽が傾いて、日が暮れるということだが、野にでて、大地、太陽という大きなキャンバスで書かれる表現主義的な絵画とでも言おうか。三行目も、太陽はすぐそこに見え、かつ無限の彼方にある、ということだが、身近なテーマであり、それがシュールレアリスティックな感覚で描かれているわけである。

田園に押し寄せる現代化のなかで、何が歌えるのか?おしまいの3行はリズムが変わる。Oh come, come vi parlero'?  1音節の単語が三つ連続する。続く二行も、accendersi を除いては1音節か2音節の単語のみで出来ている。おっとりと構えてばかりは居られない詩人の困難、それに立ち向かう決意がリズムに刻まれている。

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