ザンゾット:《Al mondo》
世界に
世界よ、良い子にせよ、
善良に存在せよ、
なるように、もとめて、ねらって、全部言ってみな、
ほら、僕はひっくり返し、裏をかき、
全ての包含は、全ての
排除と同様に有効だ、
さあ、存在するのだ、
お前自身に包み込まれず、僕自身に包み込まれるな。
僕は、こんな風に念じられた世界が
これほど超没し、超死に、
こんな風に作り上げられた世界は、
単に繭から出た悪の僕に過ぎず
空想する退屈な悪の僕で、
むくわれず想像された悪で、
お前は、「聖なる」ものでも、「聖化」されたものでもない。
そこにもう少しいろ、脇に、脇に
(存ー非ー抗、その他)在せよ
既知の、未知の前置詞すべてを越えて、
すこしチャンスを持て、
善良に何かせよ、
機構が働くように、
さあ、そら。
さあ、ミュンハウゼン男爵よ。
(訳者妄言)
詩人が世界に呼びかけている詩である。
3つの連からなる自由詩で、まず第一連の原文
Mondo, sii, e buono;
esisti buonamente,
fa' che, cerca di, tendi a, dimmi tutto,
ed ecco che io ribaltavo eludevo
e ogni inclusione era fattiva
non meno che ogni esclusione;
su bravo, esisti,
non accartocciarti in te stesso in me stesso
2行目のbuonamente は造語である。また3行目のfai che, cerca di, tendi a は次にそれぞれなんらかのフレーズが来ることが期待されることばだが、dimmi tutto とそれらの期待をずらすフレーズが来ている。
世界に呼びかけ、世界に存在せよ、という詩なのだから、一筋縄でいくはずもないのだが、すでにある世界に呼びかけているとも、自分の望む世界をこれから存在させているともとれる。
第二連は、
Io pensavo che il mondo cosi' concepito
con questo super-cadere super-morire
il mondo cosi' fatturato
fosse soltanto un io male sbozzolato
fossi io indigesto male fantasticante
male fantasticato mal pagato
e non tu, bello, non tu 《santo》 e 《santificato》
un po' piu' in la', da lato, da lato
(第二連の)1行目に il mondo cosi' concepito とあるので、世界は現に存在している世界そのものではなくて、詩人により認識されている、あるいはこう存在しろと願望されている世界であるとわかる。
しかし、その先を読むと、世界は詩人の思い通りには存在していないことがわかる。
第三連は、
Fa' di (ex-de-ob etc)-sistere
e oltre tutte le preposizioni note e ignote,
abbi qualche chance,
fa' buonamente un po';
il congegno abbia gioco.
Su, bello, su.
Su, munchhausen.
最終行のmunchのu はウムラウトがつく。(ex-de-ob etc)-sistere は、因数分解のような表記で、 exsistere(esistere), desistere, obsistere, etc ということになる。自分の望む世界が存在することの不可能性を認識しつつの、働きかけが最後のミュンハウゼン男爵、ほら男爵への呼びかけということだろう。
| 固定リンク
「Zanzotto, Andrea (ザンゾット)」カテゴリの記事
- ザンゾット:《Nei giorni delle insonni primavere》(2008.09.12)
- ザンゾット:《Nell'era della silenziosa pace》(2008.09.11)
- ザンゾット:《Villanova》(2008.09.10)
- ザンゾット:《A una morta》(2008.09.09)
- ザンゾット:《Esigue nevi i rami》(2008.09.08)


コメント