ザンゾット:《A questo ponte》
この橋で
牧場の冷たさが終わる
空の、盲目の光の
冷たさが終わる、
君の顔の、十字架に似た君の心の
冷たさが終わる、
棘のある太陽が終わる。
手なずけられた太陽のまわりの
水と木々の
秘密のダンスを
橋の下に埋没する
牧場の冷たさに感じる。
1942
(訳者妄言)
アンドレア・ザンゾット(1921- )の初期の詩集《A che valse?》(1938-1942)から。20代前半の作である。繰り返される finische il freddo (冷たさが終わる)というフレーズがリズムをつくり、牧歌的な要素と前衛的な鋭さが不思議な両立を見せている。
原文は、
A questo ponte
finisce il freddo del prato
finisce il freddo del cielo
e della cieca luce,
finisce il freddo del tuo volto
e del tuo cuore simile a una croce,
finisce il sole con spine.
Le danze segrete delle acque
e degli alberi
intorno al sole domato
io sento nel freddo del prato
che affonda sotto il ponte.
この詩が書かれた1942年は、第二次大戦中である。橋のこちらと向こうには、越えがたい断絶がある、という状況は、戦争中にはしばしば生じたであろうし、1943年以降は、イタリア国内で内戦という極めて厳しい状況が出現することになる。
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コメント
橋。また意欲をかきたてられました。イタリアの橋。この詩が大戦の作だ、ということで橋の意味もいっそう深く感じられてきます。ザンゾットといいモンターレといい、いまだ言葉で言い表すことができません、とにかく意欲をかきたてられます。感謝とともにこれからいっそうよろしくお願いいたします。
投稿: figliagiglia | 2008年8月15日 (金) 09時14分
figliagiglia さん
ありがとうございます。ザンゾット、予想通りというか予想以上に、日本語にしにくいですね。
ある時期以降は、表現が斬新で、飛躍も多く、詩として楽しむのは良いのですが、訳そうとすると、はたと首をかしげてしまうものがあります。数編のみ、挑んでみようかと思います。
投稿: panterino | 2008年8月15日 (金) 19時51分