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2008年7月14日 (月)

カラッバ 1

                     母へ

あなたは、自分が僕より先に
死ぬと知っている、そしてそれは正しい、
僕も、息子に先立たれる悲しみを
あなたに与えたくはない。
あなたが死ぬとき、僕はそばにいる、
と思いたい、言葉をかけ、
抱きしめられるように、
最後の日まで
あなたのそばで、きっとすぐには
それと理解できない別れの
前まで、どう考えたらよいのか、
どう説明したらよいのか、
わからないあの別離まで。
残るのが息子なのは、自然なことだ。
が、夜の物想いの中で、
あなたの書き物のリストを作ることに専念する中で
僕の悲しみを
和らげてくれる人が誰なのかは
知らない。

                                 
                        
(訳者妄言)
Carlo Carabbaの初詩集 Gli anni della pioggia (雨の歳月)(peQuod, 2008)から。カラッバは1980年ローマ生まれ。哲学科の博士課程に在学中。
ほんの少しのひねりはあるものの、ごくストレートに母親への愛情を歌っている。原文も読みやすい。たとえば冒頭の4行は、
                        a mia madre
Tu sai che morirai
prima di me, e' giusto,
e anch'io non voglio darti
il dolore di sopravvivermi.

である。tu をなんと訳すかは微妙なところである。
また sai (sapere) は、知る、という意味だけでなく、そう思っている、という意味もあり、ここでは、母親は自分の方が先に死ぬと思っている、という意味にもとれる。

(追記)
訳文では、当初、「母へ」がまるでタイトルのように画面上に現れてしまいましたが、イタリア語原文では、a mia madre はイタリックになった献辞であり、詩としては無題の詩です。

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コメント

 傑作です。個人的な感情が歴史的な無意識の自然感情とみごとに混ざっているのは、みごとな御訳の力量に負っています。深い。もっと読みたい。Magrelliも。
 いつも意欲を与えていただいています。

投稿: figliagiglia | 2008年7月14日 (月) 09時38分

figliagilia さん

評価していただきありがとうございます。
カラッバもマグレッリも、もっと訳していこうと考えています。
深く味わってくださる読者のいることは、大きな励みになります。

投稿: panterino | 2008年7月14日 (月) 17時19分

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