ウンガレッティ:鳩
鳩
もう一つの洪水を鳩の音に聞く
(訳者妄言)
たった一行の詩である。ウンガレッティは1888年エジプトのアレッサンドリアに生まれた。両親はトスカーナのルッカ出身。1912年パリに移り、ソルボンヌ大学で学ぶ。そこで、アポリネールらの前衛作家を知る。1970年死去。
この詩は、タイトルがUna colomba で本文は D'altri diluvi una colomba ascolto だけである(テクストは、Vita di un uomo, Mondadori から)。もう一つの洪水は、遠い昔のノアの洪水だろう。diluvio には集中豪雨という意味とノアの洪水という意味とがあり、ここでは両方の意味をかけているわけである。雨がやんだあとに鳩が鳴くのを聞いて、旧約聖書の昔に想いをはせている。
たった一行の11音詩(endecasillabo)である。
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コメント
古池やかわず飛びこむ水の音
おなじ世界。Ungaretti これから楽しみです。
Montale ありがとうございました。
出発地点に導いていただきました、すべて・・・
投稿: figliagiglia | 2008年7月 6日 (日) 09時34分
figliagiglia さん
そうですね。たしかに俳句、俳諧の世界を想起させますね。
20世紀初頭には、英語の詩の世界でも、エズラ・パウンドらがイマジズムと呼ばれる短く、一瞬のイメージを切り取るような詩を書いています。こちらははっきり俳句の影響があったようです。
第一次大戦中には、チューリッヒでダダイズムも出てきますよね。
ヨーロッパが過去の伝統をご破算にするなかで、新たな道を模索していた詩人たちが、あちこちにいたのだと思います。
19世紀までのヨーロッパの詩は、すごーくおおざっぱに言ってしまえば、もっと長くて、理屈っぽいですよね。ある議論が展開されていく、という構造を持っていると思います。
投稿: panterino | 2008年7月 6日 (日) 15時35分