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2008年6月 9日 (月)

パトリツィア・ヴァルドゥーガ 2

わたしは、ある日、二匹の蠅を見た。
一分間に百突きと、人は言う。
彼女の手が、あなたの周りにあるのを見た。
あなたの腰を、嬉しげに、締めつけていた。
種をまけ、呪われた山羊座の人よ、
たまたま、イクところへ...ベッドへ、
そう、双翅目のあそびのプロよ!
ああ神よ、私は、たしかに地獄よ!

ヴァルドゥーガ(1953-)のMedicamentaから。

(訳者妄言)
激しい嫉妬の詩であるが、ここでもヴァルドゥーガは、きわめて古典的な詩形を用いている。8行詩、ottava rima である。この詩形は、ボッカッチョも短詩(poemetto)に用いており、その後、アリオストの『狂えるオルランド』やタッソの作品で使用された。

トスカナ地方での ottava rima の脚韻はabababcc であり、シチリアではabababab であった。ヴァルドゥーガはトスカナの脚韻をきわめてオーソドックスに踏襲している。行末は、
       giorno:
               detto.
               dattorno,
               diletto.
               capricorno,
                A letto,
                l'esperto!
                 certo!
となっている。最初の6行は、脚韻がababab となる交差韻(rima alterna)で、最後の2行は、対韻(rima baciata, 英語でいう couplet )である。

激しい嫉妬の感情と、裏切った(?)男を蠅に見立てる機智、奇想(concetto)と、それを盛る伝統的な詩型が、三つ巴になっている。

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