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2008年6月14日 (土)

レクイエム

I.

魂よ、迷える魂よ、
私はお前にどう赦しを求めてよいのか判らない、
精神は沈黙し、とても明晰で
私をとても明晰に見ているので、
もう言葉を知らないのだ、魂よ、
赦しに値しない精神、
私は命の縁で沈黙する

お前にそれを与え、命のなかにお前を保つために。

II.

おお父よ、父よ、私の心の祖国、
長い間、あなたの不運とともにいて
何日も、何日も、恐怖の夜、
脳の輪切りの連続のように
あなたを見る、一人、一人で愛もなく
黙って、あなたの不運に溺れ、
知り、理解し、愛さない人と、
理解せず、愛さない人の間で。

III

なんという闇の時間をあなたは過ごしたことでしょう、
何年も、一生にも匹敵する時間、
ついにはこの11月、冷たい風に、
黄ばんだ葉叢(はむら)に絶望し、
葉叢(はむら)のように黄ばんだ父は吹かれる、
命の冷たい風のすべてに、
誤解され、消散した愛に、
あなたには与えられなかった愛に。

ヴァルドゥーガのの長編詩『レクイエム』の冒頭3編。

(訳者妄言)

一連8行のottava rima.

I の行末は、

        cara,
      perdono,
        chiara,

         sono,

         cara,

       perdono,

         vita

         vita

となっている。韻としては、abababcc という形である。II, III も同様である。

愛の詩人のヴァルドゥーガが、異性間のエロスではなく、父と娘の命の瀬戸際での愛を歌いあげている。父の人生、女性関係も波乱に富んだものであったかと想像させられる。それまでは父に反発していた娘であったが、父が危篤に陥ったことを機に反発が解け、愛がほとばしり出たのであろうか。

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