パトリツィア・ヴァルドゥーガ
来て、入って、私を摘んで、味見して、試して...
私を圧し、解かし、苛んで...
私を燃やし、プログラム化し、更新して、
加速し...減速し...迷わせて。
私を焼いて、茹でて、噛みついて...だっこして。
そして私を解かし、混ぜ合わせ...驚かして...
私を傷つけ、破滅させ、私を見いだし、尽くして。
私を穴から追い出し...灼いて、燃やして、赤くして。
私を締めつけ、ゆるめ、減らし、増やして。
私を飼い慣らし、打ち破り、狼狽させて...
私を分離し、むさぼり喰い...私を立証して。
私を縛り、溺れさせ、そして無にして。
私を眠らせ、そしてまた入って...もう一度試して。
私に冠をかぶせて。不滅にして。銀色にして。
パトリツィア・ヴァルドゥーガのMedicamenta(1982)から。
(訳者の妄言)
改訳しました(2009年6月7日)。
激しく燃える愛の詩であるが、怒濤のように押し寄せる動詞+私(comprimimi, discioglimi tormentami.../infiammami programmami rinnovami) の連続で押し切る力業と、にもかかわらず、形式的にはまったく古典的なソネットであるのに驚きを禁じえない。
周知のごとく、イタリア式ソネット(sonetto)は14行詩で、4+4+3+3の4連に区切れるが、 ヴァルドゥーガ(Valduga)のこの詩の場合、脚韻は、たとえば第一連が(provami, tormentami, rinnovami disorientami)と全部の行がami で終わっているのだが、つぶさにみると1行目と3行目はovami が共通し、2行目と4行目は entami が共通していることがわかる。以下3連もすべてこの2つの韻だけで構成しており、韻の種類の少なさ、繰り返し、はこのソネットの際だった特徴であり、リズムの力強さ、詩行のスピード感を醸成している。
ちなみに、詩の行末だけを示すと以下のようになる。
provami...
tormentami...
rinnovami.
disorientami.
covami.
spaventami...
giovami.
arroventami.
aumentami.
sgomentami...
comprovami.
annientami.
riprovami.
Inargentami.
さらに詩の形式的なことを言えば、この詩はイタリア詩のもっとも伝統的な詩行である endecasillabo でできている。endecasillabo は11音節と訳され、原則はそれでよいのだが、実は、第10音節目にアクセントがあるということが約束事で、12音節になっても 第10音節目にアクセントがあればendecasillabo である。この詩は、provami の o , tormentami の e にアクセントがあり、12音節の endecasillabo の詩である。
という形式的なことと同時に、そしてそれ以上に、女性が自由に愛を謳歌できるようになった時代の、高らかな宣言でもあるだろう。
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