Stiftskirche Wilten について
Stiftskirche Wilten はインスブルック古楽音楽祭の催しとして音楽つきミサがあげられるが、Stifskirche Stams はまったく別の会場なので注意が必要だ。Stiftskirche というのは修道院付属教会というような意味らしく、Stams というのはインスブルックから電車で約一時間いった郊外の町にある大変美しいバロック式教会である。Stams のStiftskirche には生命の樹と呼ばれる大きな彫刻が祭壇にあり、圧倒される。
一方、今回のミサの会場となった Stiftkirche Wilten にたどり着くのにも、またちょっとした注意がいるかと思われる。Wilten というのはインスブルックの中の地区・地域の名前で、大雑把に言えば駅のそばである。ただし、そこには御堂が2つあるのだ。地元では上のWilten、下の Wilten と読んで区別しているらしいのだが、地図にはそうは出てこない。どちらも立派な教会であるいて2,3分なのでこの名前の教会は2つあるということを認識していれば問題はない。ちなみに片方は教区教会で、こちらには四本柱の聖母と呼ばれる祭壇があり、巡礼者たちの崇敬の対象となってきた。
ミサの会場となる教会のほうは修道会付属の教会で、この修道会はプレモントレ会(ノルベルト会)という。その修道会聖堂なので、通常は修道士団の生活の場なのだ。この聖堂はもとは少しずれたところにあったのだが1644年に雪崩の被害で大きく損傷した。インスブルックは冬のオリンピックが開催されたことからもお判りのように町のすぐそばまで北にも南にも高い山々が迫っている。その中心をイン川が流れていて川沿いに町があるわけだ。1644年の損壊の際には応急の手当てをし、1751-56年にロココ様式で建て直された。内部には高さ18メートルにおよぶ高祭壇がある。この祭壇の上部には立体的な奥行きがあってその奥にイエス像があるのだが、これはソロモンの玉座を表わしているらしく、ソロモンよりも賢き者というラテン語の銘があって智恵のイエスとして表象されているとのこと。手前には左右に6頭ずつの黄金のライオンが座している。その下には聖母子像の絵画があるのだが、その絵画の両脇には立体の柱が六本あってというなんとも凝った複雑な祭壇なのだ。
プレモントレ会という修道会は、白衣が特徴で、修道会活動をしながら司牧(外部の信者との関わり)をも重視する修道会である。この教会は18世紀半ば建立だが、対抗宗教改革的要素も濃厚で、祭壇のみならず、天井画にも聖母像が満ち満ちている。黒と金が中心の高祭壇は、教会美術として一見の価値ありと思う。


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