映画『アート・オブ・ジョイ』
イタリア映画祭で『アート・オブ・ジョイ』(ヴァレリア・ゴリーノ監督)を観た。今年のイタリア映画祭の最終上演であり、317分の大作。間に20分の休憩が入ったので、2時45分に上映が始まり、終わったのは8時半だった。オペラで言えば、ワーグナー並みと言えよう。あるいはバロック・オペラではよくある長さとも言える。
ゴリアルダ・サピエンツァの小説が原作なのだが、映画『外の世界』で言及したようにゴリアルダ・サピエンツァの生涯とこの小説出版までの経緯が波乱に富んでいる。サピエンツァが10年かけて執筆した小説を出版社が受け入れず、サピエンツァは盗みをはたらいて刑務所にことになる。
彼女が書いた小説が Arte della gioia で映画の原作。これは全4部作で、今回上演されたのは、第一部を映像化したものだ。小説自体には第二部以降があって、カターニャでの生活、ファシズム期のことなどが描かれているとのこと。
(以下、いわゆるネタバレありですが、ロードショーものではなく、映画祭のものなので、どんな話かご興味があればどうぞ)
主人公のモデスタは、貧農の母子家庭で育ち、姉が障害者。そこに父親が戻ってきて、悲惨なことが起こり、モデスタが落としたランプのせいで母と姉は焼け死ぬ。モデスタは修道院に引き取られ、そこは貴族の娘だけが入る修道院だったので、長くはいられないはずだったが、なぜか修道院長(ジャスミン・トリンカ)のお気にいりとなりそこにとどまれることになる。しかし修道院長の寵愛は、修道会の規範ぎりぎりの危ういところまでいき、モデスタは修道院長の怒りをかう。その怒りを逆恨みしてモデスタは修道院長を死に追いやる。その後、モデスタは、修道院長の実家に短期間行くのだが、そこで気に入られ長期間留まる、といった具合に話しは続く。実家は広大な館で、その周囲には一家が所有する農地が広がり、農場管理人がその差配を任されている。この一家には実は修道院長の産んだ娘(修道院長の母の子ということになっている)や館の最上階に閉じこめられ、怪物扱いされている息子がいて。。。。
モデスタは、『山猫』の中のクラウディア・カルディナ—レが演じた成り上がりの女性に似ていなくもない。ただし、それが何倍も露悪的かつグロテスクかつ復讐心丸出しの話になっている。モデスタ演じるテクラ・インソリアは端正な顔だちで、修道女にぴったりという感じなのだが、悪意・敵意をむき出しにしたり、時に性欲に火がついたりするとタフな演技力を見せる。長いのだが、退屈するところはなく、続編が観てみたいと思った。


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