アルバン・ベルク《ルル》その4
カルッツ川崎のホールは、川崎から降りてバスでも行けるが歩くと1キロ強。天気がよければなんということもない。当日は急に暑くなったので
軽く熱中症になった感じでもあった。
この日の《ルル》の配役は(以下、敬称略)
ルル:宮地江奈
ゲシュヴィッツ伯爵令嬢:豊島ゆき
劇場の衣装係/ギムナジウムの学生:持田温子
医事顧問:峰 茂樹
画家:岸浪愛学
シェーン博士:黒田祐貴
アルヴァ:澤原行正
シゴルヒ:山下浩司
猛獣使い/力業師:菅原洋平
公爵/従僕:市川浩平
劇場支配人:倉本晋児
ソロダンサー:中村 蓉
あわせて、指揮はオスカー・ヨッケル、演出はカロリーネ・グルーバー、管弦楽は東京フィルハーモニー交響楽団。
ルルの宮地江奈は、小柄でキュートなルル。声の表情に幅があり、ルルの百変化とも言うべき場面、場面を見事に演じていた。これでアジリタの切れ味が加われば最高である。シェーンの黒田祐貴は、立ち居振る舞いにも落ち着いたところがあり、ブルジョワ社会(の一面)を体現する人物を歌いあげた。カロリーネ・グルーバーは、ルルの肖像画をマネキン作りへと置き換えており、舞台にはマネキン人形がいつも出ているし、映像でも出てくる。男たちが勝手に自分の幻想・幻影を投影する対象としてのルル=マネキン人形ということか。その上、モックでバレエダンサー(中村蓉)はいつので、ルルの独立性は二重、三重に分解されている。ゲシュビッツの豊島ゆきは、ルルと対象的な声、容姿で、二人のコントラストが効果を発揮していた。ヴェーデキント自身は、どこまで真に受けてよいかわからないが、ゲシュピッツこそが主人公だと述べているのである。
指揮のヨッケルは、指示の明快な指揮ぶりで、東京フィルハーモニーは、のびのびと金管を炸裂させ、ベルクの管弦楽法の官能性、爆発力双方を堪能できた。
劇場がオペラ・ファンに知られていないせいか後ろのほうには空席もかなりあってもったいないことであった。
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