アルバン・ベルクのオペラ《ルル》
ベルクのオペラ《ルル》を観にいくことにした。カルッツァ川崎というところで上演するのだが、
川崎駅からしばらく歩くかバスで、地図でみると、スタジアムや競輪場のある大きな公園のようなところに劇場もあるようだ(間に道路ははさんでいるが)。
なんだか《ルル》にはふさわしい場所のような気もする。
女性の主人公ルルは怪しい魅力をもった女性で、夫がショック死をしたり、自殺したり、事故死したりで3人も死んでしまう。彼女と遭遇した男はその魅力の虜になってしまうのだが、ルルの身元ははっきりしない。父親も母親もよくわからない。12歳のころに拾われたらしい。
ヴェーデキントの戯曲『地霊』と『パンドラの箱』が原作で、それをもとにベルク自身が大幅に縮め、かつ登場人物に手を加え、全体がシンメトリー構造になるように考えてリブレットを作った。
だが、ベルクは第二幕まで作曲して、第三幕はスケッチや部分的なピアノ譜を残して亡くなってしまった。そのため2幕版の上演と後にスケッチなどをもとにツェルハという別の作曲家が完成した第三幕をくっつけて3幕版として上演することがある。
予習で今のところ観たヴィデオは、1996年のグラインドボーンでの上演。ルルはクリスティーネ・シェーファー。スリムでスタイリッシュなルルである。指揮はアンドリュー・デイヴィスで、演出はグレアム・ヴィック。これは3幕版で、4:3で今のテレビでみると両脇が切れてしまうが、日本語字幕があり、演出もオーソドックスで話もよくわかる。
次に観たのが1962年の白黒もの。オーストリア初演がアン・デア・ヴィーン劇場であった時のライブ録画である。指揮はカール・ベーム。演出オットー・シェンクで、ルルはイヴリン・リア。このルルは体格がよく、背が高くて、脚が長い。立派なお身体なのだが、妖艶とか魔性の女という感じはそれほどでもない。ここで観るべきはベームの指揮だろう。カラー放送になってからの晩年のベームとは異なり、テンポは速めで、表情もきびきびしており、曲の構造をくっきりと描きだす指揮だ。冷静な楽曲分析と熱い情念が同居している。歌手たちは、皆、とても口跡がよく、お芝居として十分楽しめる(内容の暗さは別として)ものとなっている。
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