カルダーラ作曲《アウリデのイフィジェニーア》その6
カルダーラ作曲《アウリデのイフィジェニーア》の3度目の公演を観た(インスブルック、チロル州立劇場)。
3度観ると、未知のオペラが既知のオペラとなる。ストーリが頭に入り、曲も聞きなじみとなるからだ。今日は、平土間ではなく、左右に桟敷席というほどではないのだが、一段高くなった席があってそこから観た。この席からだと、オーケストラおよび指揮者がよく見える。字幕もよく見える。
今日はオーケストラピットの両脇にヴィデオカメラが二台(自動かリモートコントロールで被写体を追う)と平土間後方に四台、上方にもヴィデオカメラがあったのでテレビ中継、あるいは配信、あるいはDVD、ブルーレイになるかもしれない。個人的にはブルーレイになってほしい。
さてオケがよく見える席で、気づいたことをいくつか記す。
ダントーネのノリのよい指揮。彼はチェンバロに座っての弾き振りなのだが、身体の動きがリズミカルである。バロック期のスコアは旋律と通奏低音の部分がほとんどなのでオーケストレーションは現代の指揮者がほどこすことが多いのだが、今回のオーケストレーションには強い傾向があって、弦楽器が支配的であった。リズムを刻むときも、メロディーを奏でる時も、まずはコンサートマスターのタンピエーリが中心になり、対位法的な動きを他の弦楽器との間に交わすことが多い。時たまオーボエも出てくるのだが、その出番は多くはなく、しかもリズムや音型を刻むことが多く、叙情的にメロディーを奏でる場面がほぼない。むしろファゴットのほうが活躍するくらいだ。指揮のダントーネがオーケストレーションをほどこしたのではないかと思うが、前述の傾向はカルダーラが持っていたのを反映させたのか、あるいはダントーネの癖、音楽観が反映したものかは不明である。
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