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2025年8月 9日 (土)

カルダーラ作曲《アウリデのイフィジェニア》その2

前述のようにゼーノのリブレットなわけだが、あらすじを記す。

第一幕

ギリシア軍の船がアウリデで留まっている。風が吹かないのだ。これではトロイにおもむくことが出来ない。この事態にはアガメンノーネ(歌手 Martin Vanberg) に責任がある。彼はディアーナの聖なるシカを殺してしまい彼女の復讐をうけて、ギリシア軍の司令官でありながら、船をトロイに進めることができない。預言者カルカンテ(言及されるのみで舞台にでてこない)によれば、アガメンノーネの娘を犠牲にすればディアナの怒りが鎮まるとのこと。アガメンノーネは司令官としての義務と父親として娘を救いたいという感情の板挟みとなる。この義務と情愛のアンヴィヴァレンスがオペラ・セリアとして見所、聴かせどころと言えよう。アガメンノーネは苦悩しつつ、妻クリテンネストラ(歌手Shaked Bar)に手紙を書き、娘イフィジェニア(Marie Lys)を連れてくるよう求める。ウリッセ(=オデュッセウス、Laurence Kilsby)は、アガメンノーネの2通目の手紙を横取りして読んでしまう。イフィジェニアとアキッレの結婚が執り行われることになっている(アガメンノーネの妻に対する口実である)。アガメンノーネには娘を救う方法が見当たらない。一方、ギリシア軍はトロイをやっつけに行こうと気持ちがたかぶっている。

第二幕

アキッレ(Carlo Vistoli 彼は実は一幕から出ている。冒頭からアジリタの連続する極めて技巧的かつセリア的な威厳を示す曲を見事に歌い満場の喝采を浴びていた。Vistoli とタイトル・ロールのLys は歌唱において抜きん出ていたと言えようーー難曲がふられていて、聴かせどころが多いのではあるが、二人ともそれを立派に歌でも演技でもこなしていた。アキッレの方がアリア・ディ・ブラヴーラが多い)は、レスボス島(トロイの同盟国)を征服し、その地の王女エリゼーナをアウリデに連れてきた。エリゼーナは征服者であるアキッレに恋しており、アキッレがイフィジェニアと結婚するのを妨げようと画策する。クリテンネストラとイフィジェニアは、アキッレの(エリゼーナへの)心変わりを疑うが、アキッレは自分のイフィジェニアへの愛情は変わらないことを歌う。

ーーここで休憩(三幕もので一回の休憩だったので、2幕の途中で休憩がはいった)

アガメンノーネの腹心アルカーデ(Giacomo Nanni バリトン、声種の関係で派手なアリアは少ないが、レチタティーヴォもアリアも言葉がはっきり聞き取れるし、表情のメリハリも説得力がある)は、王女エリゼーナのまちうける運命を知っており、それをイフィジェニアたちやアキッレに明かす。アキッレは必要とあれば力ずくでもイフィジェニアが犠牲になるのを食い止めようと考えている。

第三幕

ギリシア軍の大半は、パリスとトロイへの復讐が、イフィジェニアの命より大切で、アガメンノーネは折れるべきと考えている。事態を認識した時、イフィジェニアは女神の怒りを鎮めるべく死を覚悟する。

しかし犠牲になるべきイフィジェニアは、アガメンノーネの娘ではなかった。神々はカルカンテに、犠牲になるべきなのは実はエリゼーナだと明かす。というのもエリゼーナは、ヘレネがテセウスとの間にもうけた娘であったのだ(ヘレネがメネラウスと結婚する前に)。預言者がヘレネとテセウスの娘は早死にせなばならないと言うので、別の名前で育てられたのである。神々はディアナが求める本当の犠牲はエリゼーナだと言う。彼女は自ら命を絶つ(この場面は舞台で演じられず)。ディアナの怒りは鎮まり、アガメンノーネの娘イフィジェニアは生き延びる。ギリシア軍は風をうけてトロイへ出航する。しかしアキッレは戦いで死ぬことになり、イフィジェニアの夫になることはないのである。

以上がゼーノ版のあらすじである。

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