インスブルックの教会 Stiftskirche Wilten でのミサ
Stiftskirche Wilten で Pontifikalamt という音楽を伴う特別なミサに参加した(インスブルック、Stiftskirche Wilten).
インスブルックの古楽音楽祭のプログラムの一部となっているので、信者ではないが参加させていただく。聖体拝領以外はまわりの信者の方々と同じ動作をするが、ドイツ語での司祭と会衆の応答はアーメン以外は口パクとなる。
一言で言えば音楽つきの荘厳ミサなのだが、Ponitikalamt というのは特別らしく、助祭や副助祭を含め10人ほどの聖職者あるいはその助手が儀式に関わる大掛かりなものである。入場式の時から音楽が奏でられ、香炉が前後に振られあたりに白い煙とともに特別な匂いが満ちる。
今回はJ.D.ゼレンカ(1679-1745) のMissa Votiva(誓願ミサ、奉献ミサ) zwv 18が、ミサの儀式によって「分断」されながら演奏された。楽曲としてみれば連続して演奏されず分断されたことになるが、ミサ曲という性格を考えれば、これこそが作曲家も意図していた演奏のされかたなのだと思う。
ゼレンカの曲は、華麗かつリズミカルなもので、ところどころ心浮き立つフレーズがある。そのフレージングはヴィヴァルディを思わせるところがたぶんにあるのだが、彼はドレスデンで活躍しており、それゆえピゼンテル(ヴィヴァルディと直接コンタクトのあった作曲家、演奏家)がドレスデンに持ち帰ったヴィヴァルディの楽曲を知っていた可能性はある。独唱者の歌う装飾的なフレーズがヴィヴァルディの宗教曲に通じる心躍るフレーズに満ちているのだ。ゼレンカはもっともっと知られるべき作曲家だと思った。
間に聖歌が2つはいってこれは素朴な歌。ゼレンカの楽曲とは別世界である。
聖体拝領の際にはさらにB.Storace (1637-1707)の Recercar がオルガンで演奏された。聖職者たちの退場の際には同じく B.Storace の Ciaccona がオルガンで演奏された。
カトリックのミサは、香の匂いからはじまって、儀式的様式的美に満ちている。聖職者の僧衣も位階ごとに違っていて、司教らしき人はミトラ(帽子)をかぶったり脱いだりもしていた。聖変化の儀式がその頂点にあるわけで、五感に訴える力があるのだが、こちらはゼレンカの音楽に心打たれたのであった。もっとゼレンカの音楽を知りたいと思った。
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