ヴィヴァルディ《ジュスティーノ》その2
演奏と演出について。歌手とオケについて。
指揮は Stefano Demicheli オーケストラはこの音楽祭のために編成されたオケ。
ジュスティーノ役は、アルトの Justina Vaitkute。落ち着いた安定した歌唱で素晴らしい。強いて難を言えば、場面が緊張した際にも、その歌唱の表情に変化が乏しく、劇的起伏がもう少し欲しいと思わせるところだろう。
アナスタジオ(皇帝)役は、カウンターテナーの Maximiliano Danta で高音までよく出るし、音楽を引き締まった表情に変える手際も巧みだ。
アリアンナ(皇妃)役はソプラノの Jiayu Jin. ほんの少し金属的と言ってもよいほど、張った通る声である。
レオカスタ(皇帝の妹)とフォルトゥーナ(運命の女神)の二役は、ソプラノの Sarah Hayashi. 演技と歌唱とレチタティーヴォのバランスが取れていた。若手オペラは準備・練習に時間がかけられるせいか、総じて皆レチタティーヴォがしっかりしていて聴いていて気持ちが良い。
ヴィタリアーノ(小アジアの暴君)役は、テノールのThoma Jaron-Wutz. 幕が開く前に調子が悪いというアナウンスがあったが、会場が小さいせいかほぼ問題なかった。
アンドロニコ(ヴィタリアーノの弟)役はメゾソプラノの Lucija Varsic. 背が高い女性。
アマンツィオ(将軍)役は、ソプラノのBemedetta Zanotto. 派手ではないのだが、端正な様式感のある歌を聴かせる。
ポリダルテ(ヴィタリアーノの部下)はテノールの Massimo Frigato. 背が高い。
登場人物が8人いて、もつれあうと、なかなか人物関係を把握し、頭の中で整理するのがむずかしい。
メタスタージオのリブレットが主要登場人物は6人程度におさえて、筋を簡潔にしたのもうなずける。ただし、ルッキーニの書いたこのリブレットには、アンドロニコのように女装して、それゆえにレオカスタからあらぬ嫉妬をかうというユーモラスな場面や、アンドロニコが実は男だと明かす場面などがあって、現代人にも大いに受けそうな要素がある。
舞台には大きな枠があって、なぜか時計もあり、逆向きに針が進行したり、通常の向きに進行したりする。また、登場人物の何人かはメガネをかけたりはずしたりするが、どうも劇全体の最初と最後はドラマの枠の外ということらしく、服装もその際には白黒に変わる。それが何を含意しているのかは今のところ不明。もう一つ、手袋を数人の登場人物が、片手にはめたり脱いだりする。
舞台には大きな四角柱が2つあって、それぞれの壁面に絵が書いてあり書き割りの役割を果たすのだが、ときどきそれがまわって別の面が見える仕組み。なかなか面白いアイデアかと思う。また、その書き割りがルネサンス・バロック期の建物で登場人物の服装もそのあたりの時代のようであった。つまり、古代ではない。それが回転して別の面が見えると森の書き割りになっていて、場面は森になるのだった。舞台は全体としてすっきりした美観を保っていて、ヴィヴァルディの世界にふさわしいと言えよう。熊や羊のかぶりものをかぶった人物がでてきたのは、ジュスティーノの出自が農夫ということをユーモラスに表象していたのであろうが、なごやかな雰囲気を舞台に与えていた。
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