映画『ファミリア』
フランチェスコ・コスタービレ監督の映画『ファミリア』を観た(有楽町朝日ホール)。
これもイタリア映画祭での上演である。DVの話である。
フランコという父親と母リチアにはアレッサンドロとルイジという子供がいる。この子供が小学生の時から物語は始まる。母の訴えで警察が介入するが、暴力をふるう父からだけでなく、被害者の母からも子どもたちは数年引き離されて施設にいれられてしまう。ここはなんとも不条理。青年になったルイジ(ジジ)は、極右の団体に入っている。左翼団体との乱闘で相手をナイフで刺し刑務所へ。その後、再び父親が彼らのもとへ帰ってくる。最初は心を入れかえたかに見えるが再びDVが始まる。リチアが職場を変えてもかぎつけてやってくる。そして職場の男性と浮気をしていると決めつけ暴力をふるうのである。ジジは重大な決意をする。
この間にジジの恋愛も描かれる。
ほとんどユーモアのかけらもないのだが、極右団体にいることを知った父とジジの会話で、父がぼそっとお前のばあちゃんはパルティザン(ファシストに対する抵抗運動参加者)だったんだぞ、つぶやくのは運命の皮肉でおかしかった。
上映後、監督への質問で、なぜ子供と母親は引き離されたのかという質問に対し、監督は、当時(この映画は実話にもとづいているが1998年から2008年の話なのだという)は、親子が避難する施設がなく、母親に経済的自立がない場合、子供が施設に入れられてしまったのだとのことだった。現在は親子で避難できる施設があるとのこと。
ちなみに、母親役の俳優バルバラ・ロンキは、CS放送ミステリーチャネルの『マテーラの検察官インマ・タタランニ』で主人公の同僚として出演しているが、まったくキャラクターが異なる。俳優というものは、キャラクターをがらっと変えることができる見事な一例である。
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