ヴィヴァルディ《オルランド・フリオーソ》
ヴィヴァルディのオペラ《オルランド・フリオーソ》を観た(辺境伯劇場、バイロイト)。
イタリア語で歌われ、字幕はドイツ語と英語。
指揮はフランチェスコ・コルティでオケはイル・ポモドーロである。演出はマルコ・ベッルッシ。このプロダクションはフェッラーラのテアトロ・コムナーレおよびモデナのテアトロ・パヴァロッティとの共同制作。
配役は、
オルランド・・・ユーリ・ミネンコ
アルチーナ・・・ジュゼッピーナ・ブリデッリ
アンジェリカ・・・アリアンナ・ヴェンディテッリ
ブラダマンテ・・・ソーニャ・ルニェ
ルッジェーロ・・・ティム・ミード
メドーロ・・・キアラ・ブルネッロ
アストルフォ・・・ホセ・コカ・ロサ
合唱・・・アッカデーミア・デル・サント・スピリト合唱団(フェッラーラの合唱団で、名前は1598年に創設されたフェッラーラのアッカデーミアに由来。作曲家のフレスコバルディやレグレンツィもメンバーだった)
ヴィヴァルディとアリオストの『オルランド・フリオーソ』の関係はちょっとややこしいので整理しておこう。
簡単に言えば、ヴィヴァルディのオルランド関係は3作品ある。
1713年11月にジョヴァンニ・アルベルト・リストーリ作曲、グラツィオ・ブラッチョーリ台本で《オルランド・フリオーソ》(RV.anh.74)が初演される。これは純粋なヴィヴァルディ作品ではないが、リストーリの曲に加えて彼の曲が加わっている。彼は劇場支配人としてこの作品を上演したのだ。好評であった。
翌1714年に、ヴィヴァルディはヴェネツィアでのデビュー作として《オルランド・フィント・パッツォ》(RV727)を初演する。これはオルランドものではあるが原作はボイアルドの『恋するオルランド』。しかしこれが大失敗だった(というのが通説で、そうではなかったという異説もある。資料が十分でないため決定的なことが言えないようだ)。
大失敗説を一応採っておくと、そのシーズンの穴埋めをするために、大急ぎで、前年の《オルランド・フリオーソ》を元に彼の曲を加え、台本にも手を入れて彼とリストーリの曲が混在した《オルランド・フリオーソ》を作った。これにはさらにヴィヴァルディの曲が加わっている(RV819ー近年になって作品番号がついた)。
そこから10年以上が経過して1727年にサンタンジェロ劇場のオペラ監督だったヴィヴァルディが作曲したのが《オルランド》(RV.728)である(通常、《オルランド・フリオーソ》と呼ばれるのはアリオストの原作によるものか)。これは以前のリブレットに手が加わり(それが誰かは不明なのだが、ヴィヴァルディ自身ではないかという説もある)、今度はすっかりヴィヴァルディによって作曲された。これが今回バイロイトで上演された《オルランド・フリオーソ》である。ちなみにフリオーソでもフリオーゾでも同じ(どちらの発音も正しい)。
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