ランチコンサート
インスブルック古楽音楽祭のランチコンサートに行った(Hofgartenのパヴィリオン、インスブルック)。
もともと宮廷の庭園だったものが今は市民に開放されている。そのなかのパヴィリオンで13時から1時間強のランチコンサートが催された。
楽器はバロックハープとヴィオラ・ダ・ガンバ。無料である。12時半頃会場につくと、すでにかなりの人が並んでいる。
このコンサートは質が高く、しかも無料で市民に開放されていて文句なく素晴らしい。それを断ったうえでなのだが、東屋(パヴィリオン)の四方のドアと窓を開け放つので、座席によっては強い直射日光があたるのと、インスブルックは空港が近いので今回も数回飛行機の音がした。
とはいえ、緑に囲まれてリラックスして聴く古楽のコンサートは、真の意味で贅沢なものだろう。
以前にも書いたがここの市民に開放されたコンサートは、無料だから古楽の中ではポピュラーなものを演奏するということは微塵もない。プログラムはたとえばアンブラス城や小さな教会の有料コンサートのそれとまったく遜色ない。
この日のプログラムは、Henrietta Urban のバロックハープ演奏で
Ascanio Mayone (1565−1627)のトッカータ
Giroramo Frescobaldi (1583-1643)の Partite sopra passacagli
Benardo Pasquini (1637-1710) のトッカータ
Antonio Vivaldi (1678-1741) のフルート協奏曲の編曲
そのあと奏者が入れ替わり Lucile Boulanger のヴィオラ・ダ・ガンバ演奏で
Sieur Dubuisson (ca.1622-ca.1681) のプレリュード
Nicolas Hotmann (ca.1610-1663) のバレエ、クーラント、サラバンド、ジーグ
Marin Marais (1656-1728) のアラベスク
Philippe Hersant (1948- ) のL'ombre d'un doute この曲に対しては
奏者から現代曲ですが、短いのでご安心ください。曲はオルフェオを扱ったものだという説明があった。ファンファーレや亡霊やオルフェオのハープが描写される。
Antoine Forqueray (1672ー1745)の Le Carillon de Passy
Sieur de Sainte Colombe (ca. 1640- ca.1700) 奏者から作曲者はマラン・マレの先生だったという紹介があった。彼のプレリュード、アルマンド、サラバンド、ガヴォット、シャコンヌ
最後は二人で
Arcangelo Corelli (1653-1713) ヴァイオリンのトリオ・ソナタ3番を編曲。
ハープもヴィオラ・ダ・ガンバもおおむね音楽史を辿っている。しかも一カ所現代曲をいれて、さりげなく聴衆に現代曲に触れる機会を設けてもいる。よく考えられた知的なプログラムなのだが、個々の演奏はのびのびとそれぞれの楽曲の特徴を歌いあげるものだった。
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