映画『あなたのために生まれてきた』
イタリア映画祭のオンライン上映でファビオ・モッロ監督の『あなたのために生まれてきた』を観た。
イタリア映画は、実話をもとにして、脚色し、ユーモラスなタッチを加えて社会問題をドラマ化して見せるのが上手い。
障害者施設を舞台にした『やればできる』もそうだったし、女性建築家がコンペで勝つために男性になりすました(選考委員の勘違いをたださなかった)『これが私の人生設計』もそうだ。撮り方によっては重苦しい映画になりかねないものを、ユーモアや恋愛ドラマの要素をまぶすことで、主題となる社会問題に積極的関心をいだいていなかった人をもそこに連れていく。気づきを与える。
この映画では、ゲイのカップルが出てきて、主人公はそのうちの一人で、もともとは神学校に通っていたのだった。養子をとろうとするなかでカップルは別れてしまう。主人公は一人となっても、一時的な里親も含め、機会を得られないかと格闘する。里親でも養子でも、男女の夫婦が優先され、なかなか彼には委ねられない。そこへダウン症の赤ん坊がでてきて、この子は何十組もの里親候補が断ってしまう。そこからチャンスがめぐってくる。彼の考えに共鳴した女性弁護士の助力もある。役所側の人間も、彼らなりの理にかなった論理を持っている。行き詰まって解決策がなさそうに見えるところから、どうほぐれていくのかが見せ所の映画だ。
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