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2023年8月12日 (土)

ヴィヴァルディのオペラ《オリンピアデ》その2

ヴィヴァルディのオペラ《オリンピアデ》を再見(チロル州立劇場)。

やはりこのオペラ、ヴィヴァルディ版ではアミンタ(歌うのはデ・サ)が最も技巧的で歌い映えのする曲があたっている。’Siam navi all'onde algenti' の時には降りた幕の前にデ・サが一人でおり、しかも彼にスポット・ライトが当たる。他のアリアではそういう扱いはないので、特別扱いである。オケも指揮も、来たー、という感じでノリがよい。ヴィヴァルディのこういう曲は、何度聞いても、ここでこうなるとすみずみまでわかっていても、序奏を聴くとワクワクする。会場の聴衆もやんやの喝采である。ツボにはまる曲なのである。日本でこのオペラが上演されないのは、とってももったいないことだと思う。

非常に音楽的な快感に充ちた音楽なのだが、歌詞をみるとあらゆる快楽は(つまずきの)石・岩だと言っていて、むしろ教訓的なのだ。ヴィヴァルディは、こういう歌詞と知りつつ、かしこまった曲ではなく、聴く者を快感の嵐に巻き込む曲を書いたのだ。

むろん、リチダ(ベジュン・メータ)やメガークレ(ラファエレ・ペ)にも聞き惚れるアリアがある。王と王の部下オロンテはバス(バリトンを含む)なのだが、聴きごたえのあるアリアがあってバランスがとれている。

今回の演出で良かったのは、女羊飼いを名乗っていたアルジェーネが黒い地味な服を脱いで、水色のドレスになるところ。身をやつしていたが実際はお姫様というのがよくわかった。小学生でも出来る演出だが、こういう基本を抑えていないとストーリーが把握しにくくなるのである。

(追記)最終日、たまたま早めに会場に行くと、上の階のロビーで、デ・サがヴィヴァルディを歌うことについて語っていた。彼は英語で話し、ドイツ語通訳がはいる。デ・サによると、ヴィヴァルディのアジリタは難しいが、それはヘンデルの難しさとは異なる。ヘンデルは声用に書いているが、ヴィヴァルディは器楽と同じように書いているというのだ。ポルポラは、また別の難しさがあって、彼は声楽の先生でもあったから声楽のテクニックを知り尽くして、難しい曲も書くのだという。

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