チロル州立博物館(その3) オランダ絵画のアイデンティティー
博物館の展示・解説から
16世紀・17世紀のオランダのアイデンティティー
何世紀にもわたり、オランダは水との戦い、外国支配との戦いを続けてきた。
16世紀半ばからはスペイン・ハプスブルクからの独立を目指す。その結果、カルヴァン派の北部(ネザーランドの北部)とカトリックの南部(ネザーランドの南部)に分かれる。1566年に大規模な聖像破壊運動が起こる。カルヴァン派の牧師たちは教会から聖像を取り除くように説いた。
この宗教運動は、美術の世界にも影響を及ぼした。北部では独立した商工業者が、新たなジャンル、風俗画(genre painting)を受け入れた。これによってはじめて近代的な意味での美術の市場が生まれた、とこの博物館の解説は語っている。一方、南部では宗教画の需要があり、貴族たちが大きな役割を果たし、より保守的な嗜好を示していた。
北部で出現した風景画は、この新しい美術市場の恩恵をこうむった。これらは、直接的・間接的にその地域の歴史を語るものだった。海や堰を描いたもの、17世紀に気候が寒冷化した情景などを描いている。
次項へ続く。
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