ヴィヴァルディのオペラ《忠実なニンフ》(その1)
ヴィヴァルディのオペラ《忠実なニンフ》を観た(インスブルック、音楽堂)。
音楽堂というのは Haus der Musik で州立劇場の隣の建物である。この音楽堂に二つの劇場があって、この日の会場は地下の
小劇場である。一列が15人で15列なので定員は225名。小ぶりな劇場で、バロック・オペラにはふさわしいと思うが、ここで上演するのはインスブルック古楽音楽祭の若手オペラである。若手オペラについて説明するとオーケストラもおおむね若手でこの音楽祭の臨時のオケらしく
Barockorchester:Jung (バロックオーケストラ・ユング)というものだ。序曲を聴いて、ピッチや縦のラインの揃い方が、この音楽祭に登場する超一流の管弦楽団とは異なることがわかる。ただ、指揮者との息はあっていて、アリアになると実に音楽的なノリのよい伴奏をする。なので、ピッチうんぬんの定量的な能力はすぐに気にならなくなった。ヴィヴァルディの音楽、特にアリアはドラマが展開するに連れて、キャラクターやその場、情景のアフェット、情感を、時に深く、時に感情の襞までも描出していく。つまり、表現の振幅、種類の多さが求められるのだが、キアラ・カッターニの適切な指揮ぶりに応じて、このオケは様々な表情を表し、テンポもリズムも生き生きと変じるのであった。
このオペラは演出も納得のいくものであり、歌手の歌唱も若手オペラとしては十分高いレベルだった。
あらすじがかなり複雑なので次項で紹介する。
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