《乾いたローマ》
パオロ・ヴィルズィ監督の映画《乾いたローマ》を観た(イタリア映画祭、オンライン)。
ヴィルズィ監督お得意の、いくつもの筋が並行して走っているかに見えて、話が進むと、その複数の筋が互いに絡んでいることがわかってくる。社会の多面性を見せているとも言えるし、われわれの個が社会的存在であることを露わにしている作品とも言える。登場するのは、幻影を見るタクシー運転手、女性医師、水問題についてテレビでコメントする大学教授、アフリカからの難民青年、刑務所からひょんなことで出てしまった囚人など。SNSでつながっている登場人物もいれば、偶然の出会いもある。幾何学的な構成の脚本は、精緻であり人工的でもある。オーケストラが登場するが、指揮者は、バロック界の第一線で活躍する本物の指揮者フェデリーコ・マリア・サルデッリであった。わかる人にはわかる凝った配役である。
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