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2023年2月22日 (水)

コルセッリ作曲《シーロのアキッレ》上演中止

2月21日の《シーロのアキッレ》の上演は中止となった(マドリッド、テアトロ・レアル)。

劇場から午前中にメールで連絡が来たのだが、タイトル・ロールを歌うはずだったフランコ・ファジョーリも一昨日2月19日に代役でうたったガブリエル・ディアスも健康上の理由で歌えなくなり、上演は中止にせざるを得なくなったとのこと。

その変わりの上演を2月26日(日曜日)にするので切符はそちらに振り替えるという。それが都合の悪い人は今日の夕方六時半までに、劇場に電話か直接来るように、とのことだった。

僕の場合は、2月26日より前にマドリッドを出発してしまうので、劇場の窓口に行って説明をし、クレジットカードを通じて返金してもらうことにした。振り替えでなくて返金にも応じてくれたのはありがたいが、公演が無くなってしまったのは実に残念だった。このオペラは以前の項目で記したように蘇演なのでCDもDVD/ブルーレイもない。コルセッリを3回聴いて、その音楽の特徴や聞き所を耳に刻みこもうという心積もりだったのだが、これで1回分は消滅してしまった。ファジョーリもディアスも病気だとすると、23日の上演はあるのか?と劇場の窓口で尋ねたが今のところやる予定と。そう答えるしかないのだろうな、という答えである。僕としては23日の公演があることを祈るのみである。

ファジョーリもディアスも健康上の理由でとのみ発表されているから、新型コロナが絡んでいるかどうかは定かではない。絡んでいるかもしれないし、絡んでいないかもしれない。

思い返すと1年前の2022年2月フィレンツェのマッジョ・フィオレンティーノ劇場でケルビーニのオペラ・ブッファ《Lo sposo di tre, e marito di nessuna》も上演が珍しいオペラなので複数回予約したのだが、最初の2回が劇場関係者の誰かが新型コロナに感染して中止となった。3回目以降は無事上演された。その際には、払い戻しは事実上極めて困難で、僕の場合は次の別の演目の切符に変えてもらうことになった。去年の今頃は、関係者にコロナが出ると災難であったのだ。

現在は、ほとんどの劇場でそこまで厳格な規制はなく、ファジョーリが仮にコロナだったとしても、公演全体が中止にはならずディアスという代役を立てればよかったのだ。新型コロナに関する規制は日本でもヨーロッパでも年ごとに大きく変化して行ったのである。それにしても二人とも病気になってタイトル・ロールを歌う人がいなくなってしまうという事態は、こちらはまったく予想していなかったし、おそらく劇場としても想定外だったのではないか。

舞台芸術を生の舞台で観る、接するということが一期一会的性質を多分に持っていることを認識させられた出来事だった。

チケットを買ったから、観られるのは当たり前と思いがちであったが、実際には必ずしもそうではないのだ。

 

 

 

 

 

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