エクメニカルな教会礼拝音楽会
カールスルーエのヘンデル音楽祭とタイアップした教会礼拝音楽会に出た(カールスルーエ・シュタット教会)。
エクメニカルとついているのは、辞書的には全教会統一を促進するということだが、ここの地元での意味としてはプロテスタントとカトリックが一緒にやりましょうという意味になるかと思う。シュタットキルヒェ自体は、プロテスタントの(福音派の)教会である。
牧師の説話や会衆の歌う賛美歌の合間にヘンデルのアリアが歌われる。筆者のドイツ語力の低さのため、説話の内容は理解不能なのがまことに残念。ヴェネツィアのサン・マルコ寺院での荘厳ミサとはその点が大いに異なった。
最初と最後にヘンデルのコンチェルト・グロッソ・ト長調が奏でられた。途中で歌われたアリアは四曲。
《メサイア》から一曲と An Occasional Oratorio から三曲。
’An Occasional Oratorio'は、1745−46年にジャコバイトの反乱(ジェームズ2世の子孫がイングランドの奪還を図った)がスコットランドで起こった際に、1746年の初頭に作曲されたもので、第一部は戦争の悲惨さ、第二部は平和の祝福、第三部は勝利への感謝を歌ったものであり、極めて当時の政治状況との関わりが深い。
この日最初に歌われたのは An Occasional Oratorio の第二部24曲’How great and many perils enfold'
歌ったのはカウンター・テナーのルーカス・キウク・キム氏。韓国出身。2019年のヘンデル・アカデミーの受講生。
第二曲は《メサイア》の 'How beautiful are the feet of them' 。歌ったのはHyuneum Kim氏、韓国出身のソプラノである。
第三曲は 'An Occasional Oratorio' 第二部22曲で 'After long storms and tempests overblown' 上記の2人により歌われた。
第四曲は、'An Occasional Oratorio' 第二部19曲で 'Prophetic visions strike my eye'. ソプラノが歌った。このアリア、歌詞の続きは '
in vain our foes for help shall cry, war shall cease, welcome peace, and triumphs after victory' (敵が助けを求めても無駄だ、戦争を止めさせるぞ、平和歓迎、勝利して凱旋を)というもので、4曲を通じて、ウクライナ対ロシアの戦争とその行方に対する人々の思いを想起させずにはいかない。
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