《魂と肉体の劇》のリブレット
前項で書いたように《魂と肉体の劇》をシアターXで観たのだが、そのリブレットの特徴について書いておこう。
リブレットはアゴスティーノ・マンニによるもので、この人は1547年にローマでフィリッポ・ネーリ(オラトリオ会の創設者)を知り、弟子となって後にはオラトリオ会の長(prefetto) となっている。説教が上手で評判だった。
このリブレットは序(Proemio) と3幕から成っている。序の部分はAvveduto とPrudenzio という二人の若者の散文による会話。現世の様々な誘惑や欲望をどう考えるべきか、といった内容。
第一幕になると Tempo (時)が出てきて、現世の物事の空しさを説く。合唱や知性も出てくる。第四場になってCorpo (肉体)とAnima (
魂)が登場する。第一幕は冒頭からずっと rima baciata (カプレット)で書かれている。行末が2行ずつ韻を踏んでいて、aabbcc...
という形をとっている。一行の音節数はわずかな例外を除き7音節である。
第一幕第四場で肉体と魂が出てくるところは、それぞれが3行ずつの台詞を交わすのだが、そのうち2行目と3行目が rima baciata になっている。ここもやはり1行は7音節である。続く第5場は合唱だが、1行11音節と7音節が交錯し、韻もabab のような交差韻となっている。11音節と7音節が使用されるのは、16世紀の牧歌(劇)によく見られるパターンである。
第3幕になると今度は1行8音節で rima baciata が頻出する。1行8音節の二行連句を連ねてこのオペラは終わる。
8音節の部分ではリトルネッロ付きのダンスを踊りながらの進行となっている。明らかに音楽的性格にあわせて詩の音節数も選ばれているものと思われる。
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