ユリア・レジネヴァのリサイタル
ユリア・レジネヴァのリサイタルを聴いた(辺境伯劇場、バイロイト)。
ポルポラのオペラ・アリアを集めたプログラムで、ところどころにポルポラのシンフォニアがはいる。
レジネヴァが歌ったアリアは、まずオペラ《シロエ》の'Torrente cresciuto'。マルティーナ・パスツスカの指揮するoh!オーケストラは集中力十分かつ音楽する喜びが奏者の表情からうかがわれる。最初のアリアはタイトル通り、水かさのます川の流れを感じる。
次のアリア、オペラ《スタティーラ》の'Sol fra scogli e fra tempeste' は圧巻だった。スタティーラはチーロの未亡人で、古代ペルシアの話だ。このオペラのリブレットを書いたのは劇作家のカルロ・ゴルドーニ。歌詞は、嵐の中の船乗りというお決まりの比喩を用いたものなのだが、曲は気宇壮大で、レジネヴァの歌唱を聴くと、一気にオペラ・セリアの世界に連れて行かれる。彼女の歌唱は、アジリタのテクニックといい、リズム感といい、テンポの揺らし方と戻し方、音色の使い分けといい、一瞬たりと間然とするところがない。高音のアクートからソットヴォーチェまで自由自在に実に適切に使い分ける。声として表現の幅が広いだけではなく、曲を構築する音楽性も超一流なのだ。
情感がこもりつつ、同時に、気品や毅然とした態度を示すことが可能だ。メロディー部分だけでなく、装飾音符に血が通っている、そこから音楽がほとばしり出る。こういう歌手と同じ時代を共有できたことは幸せだと思う。
他にオペラ《シファーチェ》、《カミッラの勝利》からを歌って休憩。
後半は《シロエ》、《シファーチェ》、《イッシピレ》のアリアを歌った。
鳴り止まぬ拍手にこたえてのアンコールはヘンデルの《時と悟りの勝利》から3曲、1曲目が’Un pensiero nemico di pace'、2曲目が’Tu del ciel ministro eletto'、3曲目が'Lascia la spina', 4曲目はプログラムに戻ってポルポラの《シファーチェ》の'Son pellegrino errant'であった。
しばらくは次のURLでヴィデオとして観られるはずです。
https://www.facebook.com/BayreuthBaroque/videos/629598608813399
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