アルス・アンティカ・アウストリア演奏会
ベネディクト・アントン・アウフシュナイター作曲のソナタを何作か聞いた(バイロイト、オルデン教会)
会場は町の中心部をやや離れているが、辺境伯劇場と同時期に、辺境伯が建てた教会とのこと。バロック様式の教会である。
ベネディクト・アントン・アウフシュナイター(1665−1742)は、生没年から判るように大まかに言えばバッハやヘンデルと同時代人であるが、この人はチロルで生まれたが、ウィーンに出て教育を受けたらしい。そしてGeorg Muffatの後継者としてパッサウに赴きカペル・マイスターとなった。
といかにも知っているような口振りで書いてしまったがこれはすべてプログラムにGunar Letzbor が書いていることであり、彼は当日の演奏グループ、アルス・アンティカ・アウストリアのリーダーでヴァイオリニストである。彼も書いている通り、アウフシュナイターは、まだまだ無名でアウフシュナイターって誰?という音楽ファンが圧倒的に多いと想像される。
Letzborが書いている通り、われわれはバロック音楽というとバッハやヘンデルの存在の大きさもあって、プロテスタントの音楽という刷り込みが無意識のうちにあるが、美術を考えれば明らかなように、バロック音楽は、南ドイツにもオーストリアにもあったわけで、アウフシュナイターは、カトリックのバロックの非常にすぐれた作曲家で、 Letzbor が再発見したらしい。当日は4つのソナタが演奏されたが、ヴァイオリンが中心的な存在であるものの、ヴァイオリン・ソナタというわけではなく、ヴァイオリン2丁、ヴィオラ1丁、チェロ1丁、オルガン、テオルボという編成で演奏された(一曲だけ、テオルボがお休みだった)。ポリフォニックな要素とホモフォニックな要素、和声的な要素が極端なギアチェンジなく、なめらかに交錯する聴き応えある音楽だった。解説によれば、宗教音楽も沢山作っており、そちらへの興味もかきたてられた。
当日演奏されたのは、教会ソナタとして1703年に作品4としてアウクスブルクで印刷されたもの。当時は教会ソナタが人気を博していたのである。彼の教会ソナタはヴィーンの伝統にそって、ほとんどが一楽章からなる(ただし、その中でアレグロ—アダージョなど変化は何度もある)。曲によっては Pars1, Pars2 と二部に分かれているものもある。また、それぞれのソナタは聖人に捧げられていて、それがカトリック的なことは言うまでもない。
音楽的にも演奏も充実して喜ばしい演奏会だったが、ヴィデオ・カメラが3台ほど入っていたので、どこかでストリーミング放送などされるかもしれない。
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