映画『小さなからだ』
ラウラ・サマーニ監督の映画『小さなからだ』を観た(イタリア映画祭2022、オンライン上映)。
この作品は、ある女性が死産の赤ん坊の遺体とともに旅をするロードムービーであるとともに、2021年のダンテ没後700年へのオマージュの映画でもあると思う。
ダンテへのオマージュであると考える理由を述べる。冒頭近くで、女性は、司祭に赤ん坊に名をつけてくれというが拒絶される。赤ん坊はまったく息をしていなかったから、というのがその理由だ。そういった赤ん坊はリンボー(辺獄)に行くとされている。ダンテの『神曲』では、あの世は大きくは天国、煉獄、地獄に分かれているのだが、地獄の第一層としてダンテは辺獄を描いている。死んだら会えるかと問う女性に、司祭は夢の中でならと応える。女性はなんとか死んだ子に洗礼をさずけ名前をつけたいと考え、それが可能になる(一瞬、死んだ子が息をする)教会があるというところまで旅をする。その旅は波乱にみち、彼女は人身売買の対象となったり、途中で山賊に襲われたりする。
ある渓谷の湖の向こう岸にその特別な教会はある。
そこまで女性は羊飼いのような少年(?)と旅をする。この少年は彼女をだましもするのだが、途中からは旅の友となる。後半で彼のアイデンティティーがより明らかになるのだが、それには触れないでおこう。
100年近く前のフリウリ地方の習俗が興味深いと同時に、リンボーに行くはずの遺児をなんとか救いたいという信念も印象的な映画であった。
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