デルフィーヌ・ガルー・リサイタル
デルフィーヌ・ガルーのリサイタルを聴いた(ペルゴラ劇場、サロンチーノ)。
ペルゴラ劇場の小ホールでバロック歌手デルフィーヌ・ガルーのリサイタルを聴いた。オッタヴィオ・ダントーネのチェンバロ伴奏。
プログラムの題が、L'arte del canto--Passioni selvagge e amori pastorali となっていて、歌唱の技術ー素朴な情熱と牧歌的愛、といった意味になるだろう。
休憩なしの約一時間のプログラムで、ポルポラのカンタータ、ドゥランテのソナタ(チェンバロ独奏)、ボノンチーニのカンタータ、パラディージのソナタ、C.A.ベナーティのカンタータ、レオナルド・レオのアリア、ガルッピのソナタ、ベネデット・マルチェッロのカンタータという構成である。つまりカンタータの間にチェンバロ独奏がサンドイッチのようにはいっているのだが、時代は17世紀前半に活躍した人が中心でそれよりやや後の人として、Paradisi(1707−1791)とGaluppi (1705-1785)がはいっている。
ガルーは、西洋人としては驚くほどやせた華奢な体つきで、顔をみなければ日本人だとしてもおかしくない感じである。ペルゴラの小ホールは300人の比較的小さなホールであるということも関係しているかもしれないが、声量としては自由自在に小さい声での細かなニュアンスから、圧倒するような迫力の声まで使いわけている。
ケルビーニのオペラ・ブッファと比較するのも唐突だが、自分としてはごく最近に聞いたのでつい比較されてしまうわけだが、歌詞はこのカンタータ群が圧倒的に優美である。まあ、ケルビーニはオペラ・ブッファだから、洒落のめすということはあっても、典雅さをねらったものではないので当然と言えば当然なのだが。しかし音楽作りに、歌詞の内容が反映されることは当然で、カンタータの方は上品で、時に情熱を感じさせるといった音楽であり、装飾音のニュアンスが実に豊かなのだった。ここは歌手に技量の見せ所なわけであり、歌手によってヴァリエーションの部分は異なってくるだろう。
次々に作曲家が変わると、同じ時代の人でもポルポラとボノンチーニの作風の違いが、ほの見えて面白い。ボノンチーニの叙情性がありながらも、そこに溺れぬ洒落た感じは魅力的だった。ポルポラはポルポラで、最初は淡々として均整のとれたメロディーなのだが、装飾音がはいってくるといろんなニュアンスがそこかしこに現れてくるのだった。ガルッピになると、少し時代が変わって来たなということが聞いていてわかるのが面白かった。
アンコールではヴィヴァルディのアリアで超絶技巧が披露された。
これも実によく考えられ練られたプログラムだと感心したし、彼女の歌唱の技巧、表現を堪能した。ダントーネのチェンバロも作曲家ごとの違いを着実に感じさせ、納得の演奏だった。
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