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2021年12月 6日 (月)

ドニゼッティ《愛の妙薬》

ドニゼッティ作曲フェリーチェ・ロマーニ台本の《愛の妙薬》を観た(ベルガモ、ドニゼッティ劇場)。

ドニゼッティ・フェスティバルの演目として上演するだけあってこだわりが色々ある。

一つは、イタリアで初めてという完全版の上演。通常カットされる部分が全部演奏された訳で、確かに聞き慣れた二重唱でも、後半部分でおや、ここは聞き覚えがないという箇所があったし、最後のアディーナのアリアがあれほど長いのだとは知らなかった。印象としては全部を上演すると、より理屈っぽく展開しているのだということがわかった。通常の上演では、アディーナがネモリーノが自分への愛のために命の危険を冒して入隊を決意したことに感銘を受けて、あとはネモリーノと相思相愛になってめでたしめでたしという省略版か、それよりは少し多くて、ネモリーノが愛がないのだったら、兵隊から除隊できても嬉しくない、兵隊として死ぬとゴネる場面を含むものか、という省略版を通常観ている訳だが、その後のアディーナのアリアが長大なのだ。

また、もう一つのこだわりは、ドニゼッティ時代の古楽器、ピリオド楽器を使用したことである。たしかに、木管、金管楽器がほのぼのした、より暖かく、しかし音程をとるのは難しそうな楽器を用いていたのだった。

演出も変わったところがあって、観客は劇場の入口で歌詞の書いてある旗を渡される。歌詞は第二幕冒頭の合唱の一節だ。幕開けの前に三人が出てきて二人は楽器を持っているのだが、司会役の人が音頭をとってその部分を観客に歌の指導をして彼が合図をしたら旗を振り、歌うようにということで、何度かその部分を練習した。本番でもその場面で、皆、大きな声で歌い旗を振り楽しんだ。《愛の妙薬》にはこんな演出もコロンブスの卵であるが、あっていると思った。

指揮はフリッツァ。演出Wake-Walker.  アディーナはカテリーナ・サラ。なかなか見事な歌いっぷりだった。ネモリーノはハヴィエル・カマレーナ。ベルコーレはセンペイ。ペーザロでも何年か前に歌っていた。一幕の出だしではもたもたしていたが、二幕になったらそんなことはなく適切なテンポ、歌いっぷりだった。ドゥルカマーラはロベルト・フロンターリで、くどい味付けはせず、淡々と歌っていくがポイントはしっかり押さえている。ジャンネッタはAnais Mejias. 

今回も合唱団はマスクで独唱者はマスクなし。観客が劇場に入る時は正面に2つの入口でパルコ(桟敷席)の右側と左側、劇場の横から平土間席の客が入るという風にして、密になるのを避けているようだった。グリーンパスのチェックあり。

 

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