« 《リゴレット》 | トップページ | カヴァッリ《カリスト》その2 »

2021年10月31日 (日)

カヴァッリ《カリスト》その1

カヴァッリ作曲、ジョヴァンニ・ファウスティーニ台本のオペラ《カリスト》を観た(ミラノスカラ座)。

やや意外な気もするがスカラ座でのカヴァッリは今回が初めてとのこと。ヨーロッパのメジャーな劇場ではパリのオペラ座が数年前にカヴァッリの《エリオガバロ》を上演した。ただし、《カリスト》は、カヴァッリの作品の中では最初に復活した作品でレイモンド・レッパードが1970年に復活上演し、カヴァッリのオペラで最初にDVD化したのもこの作品だった。その後、フランチェスコ・カヴァッリの校訂版全集が出るようになったのである。

しかしながら《カリスト》は日本では馴染みがうすいし、カヴァッリも大人気とは言えない。ではあるが、今回、スカラ座はバロックオペラに本格的に取り組むことを決意したのかもしれない。数年前にヘンデルの《タメルラーノ》の上演をし、その後、バルトリが主導してバロック・オペラを連続でやるような話が聞こえてきたのだが、スカラ座の総監督が替わってしまい、実現されなかったようだ。

非常に大雑把な言い方をゆるしてもらえば、フランス、イギリス、ドイツ、ベネルクス3国の比較しても、イタリアのバロック・オペラへの取り組みは主要劇場では遅れていて、むしろ夏の音楽際や単発の公演を主としてきたように思う。

そうであった理由もわからなくはない。バロック・オペラの場合、こだわれば古楽器・ピリオド楽器で、小さめの劇場のほうが向いているからだ。しかし、もともとバロック・オペラの作曲家はイタリアが中心であるし、レッパード以来50年間に研究も上演の実践も大いに進歩したということだろう。

今回の上演では指揮がクリストフ・ルセで、演出がデイヴィッド・マクヴィカー。オケは、ルセの手兵のレ・タラン・リリークとスカラ座管弦楽団の有志(弦楽器が中心で、第一、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバス、チェンバロが参加でピリオド楽器で加わっている)。

舞台は、最近結構ある例だが、オーケストラピットの奥がメインの舞台ではあるが、オーケストラピットの横および前に通路がもうけてあり、歌手は必要に応じて、前方に出てきて、観客に直接語りかけるように、時には観客を指さしたりしながら、演技し歌う。

また、登場人物も、時々、平土間席の一番前方の出入り口から、その縁取り舞台に上がってきたり、そこから退場することもある(奥の舞台の入退場の方が回数は多いが)。こういう演出も演出も演じる歌手も手慣れた感じである。

今回、プログラムも大変充実したものであったので、何回かに分けて《カリスト》の紹介を兼ねて、プログラムに書いてあることを取捨選択しつつご紹介したいと思う。

 

 

 

|

« 《リゴレット》 | トップページ | カヴァッリ《カリスト》その2 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 《リゴレット》 | トップページ | カヴァッリ《カリスト》その2 »