「テインパニーとトランペットとともに」
「ティンパニーとトランペットとともに(Mit Pauken und Trompeten)」と題された小コンサートを聴いた。
これはプログラムの写真をみて黄金の屋根の館のバルコニーに演奏者がいて、観客は広場から仰ぎ見る形で聞くのかと思ったが、コロナの影響があるのかもしれないが(飛沫の飛散という観点から)、奏者は広場におりてきて、広場の一隅に6人並んで演奏した。5人のトランペットと1人のティンパニー(太鼓は2つで二つの音程をたたきわける)。さすがというか、ここでも使われる楽器は見事に古楽器で、ティンパニーも現在よくみるものとは異なるし、トランペットも音程の調整は唇でという古風なもの。トランペット奏者3名が女性、トランペット奏者2名とティンパニーが男性。観客には小さな子供もちらほらいて、トランペット奏者にママ—と声をかけていたり、2歳くらいの子供が音楽に合わせて踊り出したりするのも、こういったオープンなコンサートならではの光景かもしれない。これも市民、観光客に自由に開かれ無料である。
インスブルックには古くから宮廷の行事や軍楽のためにこういった軍楽隊がありその伝統は19世紀まで続いていたらしい。トランペットや太鼓というのは、オープンなところでも良く通るし、オープンであるから残響がどうのという懸念はまったくない。
音楽はプログラムによると、
Music by
Girolamo Fantini
Cesare Bendinelli
Bartholomäus Riedl
Johann Baptist Schiedermayr
とあるのだが、どれが誰のものかは、説明なしに次々と演奏されるし、まあ、ここは五月蠅いことは言わず、トランペットと太鼓の音、雰囲気を楽しめばよいのだろう。
音楽はドソドソが基本でそこにミがはいってきたり、さらになだらかにファミレミなどとなったりするのだが、そういえばモーツァルトの《フィガロの結婚》でケルビーノが兵隊に行くという歌(もう飛ぶまいぞこの蝶々)は、メロディーの最初がソッソミ、ソッソミだったと思い出す(調性の関係で移調した音程になっているかもしれないが、手元に楽譜がない)。軍楽隊の響きをモーツァルトも当然聴いていたはずで、その響きの反映があそこにはあったのだと気がついた。
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