モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行
モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行(以下MPSと略す)は、ヨーロッパ最古、世界最古の銀行であるが、いまやウニクレディト銀行に吸収合併されようとしている。
もう何年も前にMPSは経営難に陥って、国の援助、増資がはいった。その結果、今では64%を国が所有しているのだが、EUによりそれは一定期間だけ認められた措置で、ずっとこのままでいるわけにはいかないのだ。しかもMPSは銀行のストレステストに通るためには、25億ユーロの増資が必要とされているのである。
ここ数日、政治問題となっているのはMPSがウニクレディト銀行に吸収される場合、今すぐにせねばならないのか、余剰人員は出ないのか(一説には6000人の余剰人員が出ると言われている)、MPSのシエナ本店の本店機能はどうなるのか、MPSというブランドをなくすべきではない、などなどの議論が出ている。
もとはと言えば、イタリアの銀行のビッグバンが起こったときに、銀行同士が合併した(日本も同じだ)。その時にMPSは、簡単に言えば失敗したのである。スペインのサンタンデル銀行からアントンヴェネタ銀行を買ったのだが、その価格はサンタンデルが取得した価格の数倍であった。その獲得のための資金を無理な融資で調達したところからMPSの経営がおかしくなったようだ。
MPSはシエナにとっては単なる銀行ではない。町の中核であった。もともと1990年代までは民営化もされておらず、シエナ市が所有する銀行であったのだ。民営化直後は市は銀行の半分を Fondazioneという形で所有していたのだが。
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