ギター・リサイタル
《美しい無名の曲》と題されたギター・リサイタルを聴いた(インスブルック、アンブラス城のニコラウス礼拝堂)。
小さな礼拝堂で客席は100もなかったかと思う。ギタリストはフランチェスコ・ロマーノで、アンサンブルや個人での演奏活動のほか、フィレンツェのケルビーニ音楽院でリュートやギターを教えており、使用した楽器もケルビーニ音楽院のコレクションで、ルイ・パノルモ製作(1835年)である。ロマンティック・ギターということだ。曲目は、大雑把にいうとオペラや歌曲からの編曲ものがほとんどであった。
最初はモーツァルトの魔笛をFernando Sor (1778-1839)がギター用に編曲したものが6曲。
次はシューベルトの歌曲を Johann Kaspar Mertz (1806-1856) がギター用に編曲したもの2曲。久しぶりにシューベルトのセレナーデを(ギター編曲ではあるが)聞いた。ずっと古楽を聞いていて、モーツァルトを聴くとちょっとほっとする感じもあるのだが、シューベルトまでくると逆に驚きを感じる。表情の付け方が、こんなところまで来てしまったのだなあ、という感覚。
Fernando Sorの Fantaisie op.7 (1824)
パガニーニ(1782−1840)はパイジェッロやズスマイヤ—のアリアからの編曲
最後は Dionisio Aguado (1784-1849) の Le Fandango op.16 (1835-38).
古楽から初期ロマン派の世界に迷い込むと不思議な感覚につつまれることがわかった。ではあるが、フルオーケストラではなくて、ギター一丁なので過剰さは相当にそぎ落とされている。
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