『泣いたり笑ったり』(イタリア映画祭2021)
オンラインで映画『泣いたり笑ったり』(イタリア映画祭2021)を観た。周知のように、この映画祭は、一昨年までは有楽町朝日ホールで上映する形をとっていたが、去年は新型コロナのため2日間だけアニェッリ・ホール(イタリア文化会館)で、あとはオンラインで開催された。今年は当初は、渋谷のユーロライブでの上映とオンラインの両方で実施する予定であったが、コロナ禍のため結局はオンラインだけで実施となった(大阪会場は6月上映の予定なのでどうなるかはわからないが)。
監督はシモーネ・ゴダノ。公式サイトによればLGBTQを題材にしたコメディーとあるが、アレッサンドロ・ガスマン演じる庶民のおじさんとファブリツィオ・ヴェンティヴォッリョ演じる画商のおじさんのラブコメディーである。原題は Croce e delizia なのだが、これはオペラ好きならすぐにピンとくるように、『椿姫』のなかでアルフレードが主人公ヴィオレッタと歌う二重唱の一節にある言葉だ。直訳すれば「十字架と歓喜」という意味だが、苦悩と喜びということで、泣いたり笑ったりとしたのだろう。『椿姫』の中では、この言葉を発するのはアルフレードの方で、恋の苦しみと喜びという意味で歌っているが、これはやがてヴィオレッタが背負うことになる十字架(アルフレードの父から別れを迫られ、抵抗するが、アルフレードの妹の結婚に差し支えるーなぜならヴィオレッタは高級娼婦だからーと言われ、泣く泣く別れを承諾するのだ)を予兆していることになる。
この映画は、もちろん『椿姫』を知らずに観ても面白いのだが、知っているとパロディになっているところが各所にうかがえる。それをいちいち指摘するとネタバレ・オンパレードになってしまうので、この辺でやめておこう。
逆説的な純愛物語です。楽しめました。
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