ヴィンチのオペラ《ポーランド王ジスモンド》その2
バイロイト・バロック・オペラ・フェスティヴァルでコンサート形式で上演されたオペラ《ポーランド王ジスモンド》の続きである。
では作品のあらすじから。
登場人物はポーランド王ジスモンド(シジスモンド・アウグスト2世)、リトアニア公プリミスラオ。二人の王子がジスモンドと同盟を結んでいるが、リヴォニアの王子エルネストとモラヴィアの王子エルマーノである。どちらもジスモンドの娘ジュディッタに恋しているが、ジュディッタはプリミスラオに恋している。中心となるラブストーリーは、プリミスラオの娘クネゴンダとジスモンドの息子オットーネの恋。
第一幕 (以下の場は、解説上で区切りをつけているもので、リブレットの場とは一致しません)
第一場:ポーランド王ジスモンドは部下とともにワルシャワに入場し同盟を結んだ諸公からの忠誠の誓いを受けることを求める。ジスモンドは、息子とプリミスラオの娘クネゴンダが結婚しリトアニアとの同盟関係が強化されることに満足している。しかし、ジスモンドの娘ジュディッタは、モラヴィアとリトアニアのライヴァル関係を刺激する。
第二場:娘クネゴンダの忠告に反し、プリミスラオは、ルブリン合同の時の忠誠の誓いを撤回する。彼は、それにより自分の地位を失うことをおそれジスモンドへの忠誠の誓いを拒む。オットーネとクネゴンダは、王の使者であるエルネストにプリミスラオを説得するように頼むが成功しない。二人が永遠の愛を誓ったあと、自分たちでもそれを試みる。クネゴンダは、オットーネが退場したあと、娘としての義務と恋人への愛の間で悩む。
第三場:クネゴンダとオットーネはプリミスラオの説得に成功する。プリミスラオは忠誠の誓いをしてもよいと言う。ジュディッタは、兄のオットーネに、自分はワルシャワの仮面舞踏会でプリミスラオに恋をしたと告白する。二人とも、和平がなれば自分の愛の望みがかなうだろうと希望を抱いている。
第二幕
第一場:プリミスラオはジスモンドの前で、忠誠の誓いを立てようとしている。そのとき、王の天幕が崩壊し、ひざまずくプリミスラオの姿が周囲の軍勢の目にさらされる。プリミスラオはジスモンドが奸計を図ったと非難する。怒ったクネゴンダもオットーネに別れを告げる。再び戦争が勃発する。
第二場:ジュディッタは父への恐怖とプリミスラオへの愛に引き裂かれている。彼女は、彼女を恋する二人の公エルネストとエルマーノににせの希望を抱かせ、戦争においては彼女の父ジスモンドを助け、その一方でクネゴンダとプリミスラオを殺さぬように懇願する。ジスモンドは、息子オットーネにクネゴンダのことは忘れ、戦場で名誉をかけて戦うよう命じる。オットーネはクネゴンダと戦うことは全く望んでいない。
第三場:武器庫でプリミスラオは娘を自分の意思に従わせようとする。代々のポーランド王の銅像の前で誓い、オットーネと戦うことを誓い戦いにおもむく。オットーネが現れ、クネゴンダに殺してくれという。しかしクネゴンダは、オットーネに戦場で戦わせ、オットーネは名誉を獲得し、息子としての義務を果たした。
第三幕
第一場:プリミスラオは兵士に熱弁をふるう。
戦闘でポーランドが勝利をおさめる。
冑をかぶり男装したクネゴンダは、激しくオットーネに抵抗するが、オットーネは途中で彼女だと気づき、救う。プリミスラオが死んだという噂が流れる。クネゴンダはオットーネに悪口雑言をあびせる。ジュディッタは愛するプリミスラオが負傷しているのを発見する。彼女が助けを求めてる間に、エルマーノがきて兄弟の敵をとるためプリミスラオを殺そうとする。二人は、それぞれに、神の正義の裁きのゆえと認識し、その結果を受け止めようと思う。
第二場:ジスモンドは勝利を祝う。捕虜と戦利品が見せびらかされる。エルネストは王に娘ジュディッタと結婚したいと申し出る。ジスモンドはクネゴンダに息子オットーネと結婚するようにと言う。ジュディッタはプリミスラオへの愛のゆえに良心の呵責にさいなまれる。
第三場:ジスモンドは軍隊に感謝する。父プリミスラオを殺したとされるオットーネに対するクネゴンダの憎しみはおさまらない。プリミスラオが現れクネゴンダの手をオットーネの手に置く。エルマーノからの手紙で、ジスモンドは、天幕の崩壊はエルマーノの仕業で、復讐してプリミスラオに恥をかかせようとしたのだと知った。エルマーノは過ちをみとめ、自決する。ジュディッタはプリミスラオへの愛を認める。ジスモンドは改心したプリミスラオと娘ジュディッタ、息子オットーネとクネゴンダを結婚させる。エルネストは、私情より公益を優先させ、結婚を認める。
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